以前書いた物語 いんこな日々-第5章-
- カテゴリ:小説/詩
- 2009/11/05 00:41:47
5章 私の名前
ある日、飼い主が
「お前にも 名前つけてあげなきゃね」
と ふとつぶやいた。
この飼い主、オカメにはグレ子(灰色のノーマルオカメ女だから、らしい)だし セキセイ男にはちゅう坊(黄色ハルクインで黄色信号は注意だから???らしい)で セキセイ女にはグリ子(緑色のノーマルだから、は説明するまでもない)という具合で 名付けのセンスは私から言わせればまったくゼロである。
こんなんでは ブルーオパーリンの私には 青子かブル子と名付けるのがオチである。うわぁ~ やだやだ。
というわけで 飼い主が名前のこと持ち出して来たら自分で名乗ることにしておった。
幸い いんこには おしゃべりという芸当の持ち主がいるものだし 私がしゃべったところで 不自然でもあるまい。問題は 発音の仕方である。人間といんこでは 発音の仕方に 想像以上の差があって びっくりした。
というわけで 私は 飼い主の留守中に 一羽おしゃべりの訓練を続けておったのである。練習した言葉でないとおしゃべり出来ないところは、まるでいんこじゃんと 自分でツッコミを入れてドツボにはまったが こうやって 事態が予想どおりに起きてみれば 自分の先見の明を自我自賛したくもなるものだ。
飼い主の指のちょこんと乗っかり 得意満面で
「わたし りょーちゃん!わたし りょーちゃん!」
としゃべってみた。さぁ 飼い主の反応はどうだ?
案の定
「うわぁ セキセイのメスでも おしゃべりするんだねぇ!りょうちゃん、って言うの?店員さんが教えていたのかな?それとも お客さんの誰かかな?売れ残って すっかり店の主みたいな顔していたものね。そのくせ あの時は もう少し遅かったら 他の人が買ってたかもしれないんだってね。良かった、あんたをここに連れて来れて。」
飼い主はニコニコと笑顔で 私に頬ずりをした。なんだか 嬉し恥ずかしって気分になる。
ああ、こんなちょっとしたことで またカナリーシードの恨みを忘れてしまいそうになる。
その一方で 初めて知った真実に、一羽納得する。私ってば売れ残りセキセイだったのかぁ~。
だってね。私は目が覚めると いんこになっていて、すでに ここの家の鳥かごに納まっておったので、それ以前の「いんこな」記憶はないからだ。ペットショップっていえば いんこ飼ってた頃には、餌やおもちゃを買いによく行っていた店がある。とても好きな店でよく出かけていたのだけれど、十年連れ添ってきたセキセイインコ、 その最後の一羽が逝ってからは 全然足を踏み入れなくなった。
だから 久しぶりに店に入って なつかしかった。店内の様子は 以前とあまり変わりなかった。
ふと青いセキセイインコが目にとまった。
たった一羽でかごの中にたたずんでいた姿が 自分に重なった。もしかして…?
それは 私が 山瀬涼子という人間だった時の、いんことして目を覚ます以前の私の「人間の」記憶であった。
(つづく)
今回も展開がすごいおもしろいです〜〜♪
いんこというペットと接してない方に読んで
いただいて、カナリーシードがこんなに話題に
なるとは、想定外でした(^^;
読む人の立場で 読むポイントが違うということを
実感しています。
ほんとにこのお話につきあってくださってる方々
ありがとうございます。
もう少し、この「いんこな日々」におつきあいくださいm(_ _)m
カナリーシードの件でちょっぴりイジワルなのかな?と思っていた飼い主さんに親近感…!
私も名づける機会があって候補を挙げると、微妙な顔をされるので…;;
いんこちゃんの背景がちょっとずつ見えてきましたが、まだまだ謎ばかり。
あー、続きが気になります!!
すっかりこの物語の世界にどっぷりハマっております❤
ぼうぼうさんマジックですね♪
セキセイインコの特徴ってどこだろ~?
みたことがないw
そこがかなりツボっちゃいました^^
さて、続きはどうなのかなぁ~?
カナリシードはいまだ禁止なのかな…^^;
でも…
勉強ダメダメです
だってテストの点数
男子(バカ)と点数を勝負してるの…。
だから運動でしかいいところが無いの…。
小説の世界に 完全にひきこまれてます!(^^)!
もう名前のセンスのなさ上位にはいるかも
審査したら
次の展開がそれにしても楽しみ