■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義(70)
- カテゴリ:その他
- 2009/11/04 18:32:37
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|十一 (1)
十一
眞といふ最後の目的が手の届く所に來れば、碎けてさま/″\の形になる。作家は手に/\之れを捨ひ取つて作の題材とする。言はゞ是れによつて彼等の注視點を定めんとする。湧き來たる一切の思念の流を之れにはけさせんとするのである。目の据ゑどころ、氣の集めどころを此所に求める。從つて斯かる目的は眞面目でなくてはならぬ、飽くまで眞實でなくてはならぬ、何時までも人の心を占有するの力あるものでなくてはならぬ。
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*註1:手の届く所・此所に求める
「所」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/tokoro.jpg
*註2:さま/″\の形
「/″\」は踊り字・くの字点の濁点形。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/odoriji_dakuten.jpg
*註3:作家は手に/\
「/\」は踊り字・くの字点。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/odoriji.jpg
*註4:注視點を定めん
「視」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/shi_miru.jpg
*註5:目の据ゑどころ
「ゑ」は原本では「え」となっているが誤植と思われるので「ゑ」とした。
*註6:飽くまで眞實
「飽」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/aku_hou.jpg
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■抱月『近代文藝之研究』を註記なしに通しで読みたいかたは、こちらをどうぞ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/kbk_tobira.html