Dグレのキャラで物語つくってみた 10
- カテゴリ:日記
- 2009/11/03 09:21:19
「記憶、戻ったんさね」
不意に声がして驚く。ラビだった。僕は首を振り、力無く微笑んだ。
「何とか。一時はどうなるかと思いましたよ」
話題の中心は姫だ。
心から思う。姫が僕を思い出してくれて良かった、と。
「まさか向こうから出向いて来るとは思わなかったさ~」
「確かに」
ラビの脱力感溢れる呟きに同意して、頷いた。姫とラビが出会ったのは本当に偶
然だったのだ。
古びたバーで彼は姫を見つけ、情報を仕入れる為探りを入れた。返り討ちにあっ
たみたいだったけど。
「あん時、俺、姫ちゃんの命が欲しいって言ったんさ。あ、勿論深い意味は無く
て」
唐突なラビの告白に目を見開く。それなら何故あんなに姫が敵意剥き出しだった
のか頷けるからだ。
まあ元から僕を狙っていたみたいだったけど。
「そう言う事は早く言ってください」
「ハハ…ごめんごめん」
ラビらしいといえばラビらしいのだが、僕はバシッ、と彼の背を叩いた。
「神田の所へ行ってきます」
頭を掻くラビを無視し、僕は神田の元へ向かった。
広い通路を抜け、右に逸れる。一見死角になり、見えないがそこには扉があるの
だ。
「…入ります」
小さく呟いて部屋に足を踏み込めば、神田が待ち構えてた様に僕を見据える。
「女は?」
「今ホームの皆と」
僕は笑顔で彼女の様子を教えた。神田は頷いて、いよいよ本題に入る。一呼吸置
いて、目を伏せた。
「アークが動いてる」
紡がれた言葉は真剣そのものだ。そう、姫は戻って来たとしても今彼女はまるで
敵なのだ。
アークのSが消えたとなれば、裏社会はどよめき、ざわつく。
脅かされる。
姫の仲間も、姫がいつまでも帰って来なければ心配をする。殺されたのではない
か、と思い至るのだ。
心配をし、万が一を考えれば、ファミリーは動き、彼女を探し出す。
アーク程のファミリーが動けば、きっと、すぐに見つかってしまう訳だ。
つまり、全てが悪循環。
僕は静かに考えて、神田の揺れる髪を見つめた。右へ左へ往復する。
「…僕らを死んだと思わせるか、それとも…」
姫を死んだと思わせるか。
言わずとも伝わる暗黙の理解力は神田だからこそだ。
どちらにしろ、早くしなければならない。騙し、騙す、それしか幸せの方程式を
成り立たせる術は無い。
僕はしばらく黙り込み、神田とその部屋を後にした。
「…策を練ります」
扉の閉まる音。
僕はその音を背に聞いて、今度は皆が集まる食堂に向かった。
そこに姫も居る。
僕は両開きの大きな扉を押し、目的の姫に走り寄った。皆に囲まれて楽しそうに
笑みを零す彼女。
「姫」
「きゃっ…ふ、、、」
僕は後ろから抱き着いて、そのまま、驚いてこちらを見た姫の唇を奪った。
僕の唇を姫の唇に重ね合わせ、呼吸をする事を忘れる位に。考え事なんてさせな
い位に。
人目なんて気にならない。
厭らしい姫の甘い声が零れ、回りが気まずく僕らを凝視する。
見られているのが心地良い。僕はそんな感情に捕われてしまう程、彼女の事が好
きだった。
片時も忘れた時は無い。
幼い頃から君は僕の視線の先に居て、僕の全てだった。
唇を離し、彼女の首に腕を回す。
体をL字に曲げて、僕はその真っ赤な耳元に囁いた。
「もう下手、だなんて言わせませんから」
君は天使だ。
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