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「重点感染症」について②

1.基本的考え方について
(略)
公衆衛生危機管理において、救命、流行の抑制、社会活動の維持等、危機への医療的な対抗手段となる重要性の高い医薬
品や医療機器等(以下「危機対応医薬品等(MCM: Medical Countermeasures)」という。)の利用可能性を確保するこ
とが必要な感染症(以下「重点感染症」という。)について、その考え方及び暫定リストの整理を行った。
2.重点感染症の分類について
重点感染症については、未知の感染症から重点的にMCMの利用可能性を確保することが望まれる既知の公衆衛生危機管理
上重要な感染症の観点から分類を行った。まず、未知の感染症への対応を前提にパンデミックやその他の公衆衛生危機に
至る可能性のある感染症について、発生の予見可能性の視点に基づき、3つのグループ(X、A、B)に分類を行った。
その他、公衆衛生危機管理において重要なMCMの利用可能性を確保する必要がある感染症を2つのグループ(C、D)に
分類した。

重点感染症の定義および予見可能性によるグループ分類について

使用機会の制限 発生頻度少
重点感染症
公衆衛生危機管理において、救命、流行の抑制、社会活動の維持等、危機への医療的な対抗手段となる重要性の高い
医薬品や医療機器等(MCM)の利用可能性を確保することが必要な感染症
重点感染症の分類
分類 分類の定義
Group X
• 予見不可能かつ社会的インパクトが甚大な未知の感染症であり、対策において、
Group AおよびBの開発を通じた基礎研究・基盤要素技術・開発/調達メカニズム等
が必要な感染症
Group A
• パンデミック及び大規模流行のおそれがあり、社会的インパクトが甚大だが比較的予見困難な新たな感染症
• 過去に流行した感染症と近縁な病原体による新たな感染症、根絶された感染症、人為的な改変や使用が疑われる感染症
Group B
• 定期的または突発的に国内外で一定レベル以上の流行を起こす既知の感染症
• Group Aと近縁な病原体による感染症
Group C
• 薬剤耐性の発生を抑えるためにMCMの適正使用が必要であることから、その使用
機会が制限され、新規のMCM研究開発のインセンティブが乏しい感染症(薬剤耐
性感染症)
Group D
• 発生は稀だが一定の頻度がある輸入感染症、生物毒、その他希少感染症(自然発生
する、生物テロ関連病原体・毒素によるものを含む)のうち、危機対応医薬品等の
確保が必要なものや、国内と国外に利用可能性のギャップがある希少感染症(自然発生する、生物テロ関連病原体・毒素によるものを含む)のうち、危機対応医薬品等の確保が必要なものや、国内と国外に利用可能性のギャップがある希少感染症

重点感染症の暫定リスト
分類 感染症/病原体名
Group X -
Group A 以下の感染症が該当する:
【社会的インパクトが甚大だが予見困難な感染症】
○以下の病原体による新たな感染症
・インフルエンザウイルス(未知)
・コロナウイルス(未知)
・エンテロウイルス(未知)
○新たな重症呼吸器症候群をきたす感染症
○新たなウイルス性出血熱をきたす感染症(フィロウイルスなど)
○新たな重症脳炎をきたす感染症(パラミクソウイルスなど)

【根絶された感染症】
・天然痘
【人為的な改変や使用が疑われる感染症】
○遺伝子操作等を加えた新たな病原体による感染症
Group B 例えば、以下のような感染症が該当する(例):
【呼吸器感染症】
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、SARS、MERS
・季節性および動物由来インフルエンザ
・RSウイルス感染症
【蚊媒介感染症】
・デング熱
・ジカウイルス感染症
・チクングニア熱
【出血傾向をきたす感染症】
・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
・既知のウイルス性出血熱(エボラ出血熱、ラッサ熱等)
【エンテロウイルス感染症】
・エンテロウイルスA71/D68感染症
【その他の人獣共通感染症】
・サル痘
・ニパウイルス感染症
Group C 薬剤耐性(AMR)微生物のうち、研究開発上の優先順位が高いもの(別添5参照)
Group D 例えば、以下のような希少疾患が該当する(例):
【輸入感染症】
・マラリア
・狂犬病
【生物毒】
・生物毒(ヘビ毒、クモ毒 等)
【その他希少感染症(自然発生する、生物兵器・テロ関連病原体
・毒素によるものを含む)】
・炭疽
・ボツリヌス症
・ペスト

S C A R D Aにおいてワクチン開発を支援する重点感染症について

基本的考え方
○SCARDAによる開発支援を実在するGroup B感染症に対して行うことにより、対象となるGroup B感染症は
もとより、Group A及びGroup X感染症による新たなパンデミック発生時にも即応できるよう準備する。
○Group Bに例示された感染症全てを対象とするのではなく、感染症ごとの研究開発の成功率を高める目的で
支援規模に見合うよう、パンデミックに対応するワクチンを開発する目的に沿い一定の絞り込みを行う。
○実際にSCARDAで開発支援を実施する感染症について、Group A及びBの例示から以下の点を考慮して選定
してはどうか。
1)飛沫感染など、先進国においてもヒトーヒト感染が容易に起こりうる感染経路を有するもの
2)有効なワクチンが存在せず、かつ国内に臨床試験段階に進められるシーズが存在しているもの
3)特にアジア地域において課題となっているもの
4)海外において発症予防試験の実施が期待できるもの ※
※国産ワクチンの実用化が遅れた要因を分析すると
・企業収益が感染症流行の動向に左右されるため研究開発投資の回収見通しが立てにくいこと
・国内企業規模が比較的小さく、数万例規模の発症予防試験を実施する研究開発投資力を持てないこと
・特に海外において大規模試験の経験がほとんど無く、速やかに実施するためのノウハウを持たなかったこと
・ワクチン開発を担う人材の育成・保持が不十分であること
などがあげられることから、平時に海外における大規模臨床試験を実施可能な感染症を重点感染症に含め、国
内ワクチン企業が海外/国際共同による発症予防試験の実施経験を積むことにより、パンデミック発生時の発
症予防試験の速やかな実施に繋げる。

S C A R D Aにおいてワクチン開発を支援する重点感染症について

具体的な感染症の選定(案)
・呼吸器感染症(コロナウイルス感染症、季節性及び動物由来インフルエンザ、RSウイルス感染症)
・エンテロウイルス感染症(エンテロウイルスA71/D68感染症)
・蚊媒介感染症(デング熱、ジカウイルス感染症)
・その他の感染症(ニパウイルス感染症、天然痘・サル痘)

リスクが高い感染症

    WHO CEPI UKVN NIADE
炭疽症 ○
天然痘 ○
ペスト ○ ○
ボツリヌス症 ○
野兎病 ○
Q熱 ○
ウイルス性
出血熱
エボラ出血熱 ○ ○ ○
マールブルグ病 ○ ○ ○
クリミア・コンゴ出血熱 ○ ○ ○
ラッサ熱 ○ ○ ○ ○
蚊媒介感染症 ジカウイルス感染症 ○ ○
デング熱 ○ ○
チクングンヤ熱 ○ ○
リフトバレー熱 ○ ○ ○ ○
その他人獣共通
感染症
ニパウイルス感染症 ○ ○ ○
ヘンドラウイルス ○
ハンタウイルス肺症候群 ○ ○
他のアレナウイルス ○WHO
重症呼吸器感染
症感染症
MERS ○ ○ ○
SARS ○


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