ネクストパンデミックは必ず起こる!③
- カテゴリ:日記
- 2026/07/14 00:40:19
パンデミックは必ずまた起こる
尾身が3年半の間にやりとりをした首相は安倍晋三、菅義偉、岸田文雄の3人。それぞれの印象を尋ねるとこう答える。
「3人の総理が仕事をされた時期が、偶然にも感染状況の三つの特徴を表しています。安倍政権の時は、未知の病気でした。菅政権の時はデルタ株が出てくるなど、最も厳しい状況。岸田政権になってからは、経済を回そうという段階です。安倍政権、菅政権の時は専門家の意見を参考にしたいという思いが間違いなく強かった。岸田政権になると、専門家に聞くより、自分たちがリーダーシップを発揮するべきだという気持ちがおそらく強くなったのだと思います」
2023年9月、尾身はコロナ対策に関する政府関係の役職をすべて退任した。「いろいろな制約のなかで不完全な部分もあったと思うが、自分たちとしてはやるべきことをできるだけやったとも感じている」と総括する。取り組んだ約1100日の間には、政府と衝突する一方で、政府に忖度する代弁者とも批判され、誹謗中傷や殺害予告も受けた。
「かなり長い間、警察の方が身辺を守ってくれました。しかしまあ、専門家の考えたことが、直接、あるいは間接的に人々の生活に影響を与えた部分が事実としてあるわけですよね。立場が違えば見方も感じ方も違います。誹謗中傷がある程度あることはわかっていましたし、もちろん人間ですから嬉しいとは思わないけれど、そういうものかなという感覚が私にはありましたね」
WHO時代から、重圧には比較的慣れていたと語る。
「野球選手が来たボールを打つように、与えられた仕事をやるのは当然だという思いでした。コロナ対策にただ一つの正解はありません。なるべく合理的で人々に納得してもらえる提案をすることが専門家の仕事。衝突することを恐れず、それぞれの思いをしっかり言う責任がある。けんかになるぐらいとことんやったけれど、専門家会議は3年半、誰一人としてやめることはありませんでした」
現在、尾身は結核予防会の理事長を継続し、世界の感染症に向き合う日々だ。
「感染症のパンデミックは必ずまた起きます。感染症の歴史をひもといてもそうですし、人々がこれだけ交流して、たくさんの家畜を飼育している。地球温暖化なども考慮すれば、パンデミックが減ることはないでしょう。政府、自治体だけではなく、みんながこれからも起こるという認識を持って、平時から心の準備をしておくことが大事だと思いますね」
尾身茂(おみ・しげる)
1949年、東京都生まれ。90年からWHOに勤務。99年、WHO西太平洋地域事務局長に就任。2009年に帰国。同年、政府の新型インフルエンザ対策本部専門家諮問委員会委員長。20年2月、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード構成員、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議副座長。20年7月~23年8月、新型コロナウイルス感染症対策分科会会長。公益財団法人結核予防会理事長。著書に『1100日間の葛藤 新型コロナ・パンデミック、専門家たちの記録』などがある。
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