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湿気対策について⑪


▼涼しさを分かち合い、窓を開けるための技術微細水滴がつくる チョット涼しい屋外環境

なごミストとは
微小な粒径の水滴(ウォーターミスト)をわずかなエネルギーで空気中に噴霧し、それが気化することで気温降下を実現する装置。これが「なごミスト」です。都市のヒートアイランド現象抑制を目的に開発しました。屋外及び半屋外空間での夏の環境改善を目指すことで、ヒートアイランド現象の緩和、夏季における不快域からのシフト、建物の空調負荷の軽減という3つの効果が期待できます。

顔にかかっても気がつかないくらい微小粒径な水滴を使用することを強調する意味で、当初は「ドライミスト」と呼んでいたのですが、ありふれた言葉だったので私が「なごミスト」と名づけました。

愛知万博の会場には長久手会場だけで17のミスト発生設備がありましたが、その内の3か所、すなわち、「グローバルループ」と「電気事業連合会のワンダーサーカス館」と「オーストラリア館」で我々が開発した「なごミスト」が使われました。

「顔にかかってもお化粧が落ちないようにしてほしい」というのが設置者からの要望でした。ワンダーサーカス館では1300人から感想をアンケート調査した結果、99%が「続けてほしい」というほど大変な好評で、開発者のほうが驚いているというのが正直なところです。

なぜこのような装置を思いついたのか。話は3年前にさかのぼります。

2002年春、建築環境の研究者が集まる会合に出席していたのですが、そこで屋上緑化の効果について疑問が呈されたのです。どういうことかというと、一般のビルであれば、太陽光線の約3割は屋上で反射され宇宙空間に戻りますが、もし地上に深い森をつくると、太陽光線をほぼ100%吸収し、地表面での熱収支は意に反して熱くなる可能性があるのではないかというものでした。

確かに2つの立場があり、屋上に森をつくったほうがいいという人もいれば、屋上をピカピカにしてできるだけエネルギーを空に返したほうがいいという人もいます。

しかし私の実感としては「そもそも森を屋上につくっても、管理する人なんかいないのではないか。人件費がかかりすぎて続くはずがない」と感じたわけです。もちろん、毎日屋上まで登ってきて手入れするのが楽しいという人はいます。ニューヨークのセントラルパークでは、1日1ドルでボランティアをするような裕福な人がいて、公園を守っている例もあります。でも、すべてのケースにおいてそんなにうまくいくはずがない。それならば、木を植えずに水だけを蒸発させることで、気温を引き下げる効果が出せるのではないかとというのがそもそもの発想です。つまり、緑化に固執せずに夏場の環境改善ができるのではないか、と考えたのです。

いくつかの企業とコンソーシアムを組み開発を進めましたが、苦労したのは、細かい水滴をいかに少ないエネルギーでつくるかということです。ミストを作るのにエネルギーがかかりすぎては、クーラーに対抗できません。試行錯誤の結果、肌にあたっても不満の出ない水滴の大きさで、家庭用クーラーと比較して、空気の温度を下げる能力では30倍の効果を出すことに成功したわけです。これは、水を直接60気圧に加圧して噴霧することで実現しています。

愛知万博の会場ではグローバルループの約4分の1、広さにすると、東京ドームとほぼ同じ面積になごミストを吹かせています。ミストの量は、クスノキ林の真夏の蒸散量を設計値にしていますので、東京ドームほどの森ができたのと同じと考えてもらえばいいでしょう。

しかも使用水量は、家庭用水道の蛇口が4つ。ポンプに使われる電気の量は家庭用クーラーの20台分しか消費していません。

屋上緑化による水分蒸散効果と、屋上緑化していないビルの反射は、ともに太陽エネルギーの3割を宇宙へ返す。どちらの方法でも地上やビルへの蓄熱は太陽エネルギーの7割。

*とても暑いから少し暑いへ

心配されたことは、高温多湿の日本では、なごミストによって湿度が上がってしまい、蒸し暑くなるだけではないか、という点です。

実際に、気温30度以上、湿度70%以上の条件では、ミスト噴霧の効果が薄れます。

実験データでは、低い温度のときは、「暑い、寒い」といった体感温度は湿度に左右されないという結果が得られています。25度を過ぎたあたりから湿度の影響を受け始め、気温が高くなるほど、その影響は大きくなります。もしも気温35度の日になごミストを吹かせて32度に下げたとしても、とても暑いと感じさせるぐらい湿度が高い条件下では効果はありません。しかし、湿度が低く、なごミストを吹かせても70%以下に抑えられる程度の条件であれば、暑さは確実に減じます。

つまり、なごミストによる気温抑制効果(メリット)と湿度を上昇させるデメリットのせめぎ合いを考えた場合、気温30度以上、湿度70%以上というのが、一つのボーダーラインになるということです。

しかし、このような条件になるのは、名古屋地方気象台の1時間毎のデータで調べると、2001年では13時間、2002年は0時間でした。これなら十分に対応できる範囲です。

我々はあくまでも冷房と言わずに、環境改善と言っています。外はすごく暑く、内部は涼しい。その中間で、外部空間を「とても暑い」から「少し暑い」程度に涼しくすることを狙っているわけです。ちょっと涼しい空気が上から降りてきて、35度の外気を32度ぐらいまでに下げるという具合です。

もう一つ、なごミストのような水滴で加湿すると「ものすごく暑いけれど、湿度が低い」という状態、例えばバグダッドのような場所では、冷房効果を高めることができるということです。イランやイラクの留学生に話を聞くと「確かに、お金持ちは庭に大量に水を撒く」と話してくれました。



























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