腐った小説…多分
- カテゴリ:自作小説
- 2026/05/07 08:38:46
題 「夢で逢いましょう」
主役
須崎和也 地方とはいえ駅前にビル立てられる会社の社長の息子
高槻遠矢 親に捨てられ、自己評価がマイナス振り切っている。
「アルバイトの高槻遠矢です。よろしくお願いします」
そう言うと遠矢はぺこんと頭を下げた。
今日から和也の働く部署で遠矢がアルバイトをする事になったのである。
主な仕事は、お茶くみやコピーなどのいわば雑用だ。
自らの恋人だとは公言しない。人前でいちゃつかない。等などの条件つきで、
遠矢と一緒に働きたいと和也が社長に迫った上での実現であった。
「じゃあ早速だが全員分のお茶を淹れてもらおうか。麻生くん、すまないが彼に給湯室を教えてやってくれ」
課長に言われ、美人と誉れの高い麻生が遠矢を案内する。
「お湯はこっちで、急須はここ。お茶っ葉はこれをこのくらい入れて、お湯のみはこれが課長でこれが…」
ひとりひとりの湯飲みが誰のものか教えられ、それにひとつひとつ頷く遠矢。
「とりあえず課長のだけ間違えないように気をつけて。後は徐々に覚えていけばいいから」
最後に麻生にそう言われ、こっくりと大きく頷く遠矢。
「すみません、ありがとうございます」
その言葉に麻生は自分の仕事へと戻って行った。
半分くらい間違えたものの無事お茶を配り終え、ほっと息をつく間もなく次の仕事を言い渡される。
「これとこれ、コピー頼む」
「二課に行って、こう言う書類を受け取って来て」
「ごめん、お茶のお代わり頼んでもいいかな」
「これシュレッダーにかけといて」
「そこの棚からこう言うファイルとって」
「このごみ捨てといて」
あたふたと駆け回る遠矢に、何かに耐えるように拳を握りしめていた和也が急に立ち上がると大声を張り上げた。
「お前ら、まだ初日だっつーのにこき使ってんじゃないっ!」
その声に、課の人間の目が一斉に和也に集まる。
「そ、そうだな。すまん」
が、課長のその言葉に微妙な空気が流れつつも、特にそれに反論するものもなかった。
「お前が女以外にも優しくする事があるなんて、初めて知ったぜ」
こそっと話しかけてくる隣の本間に、「そんなんじゃない」と不機嫌に返す和也。
その時、「なあ、さっき頼んだコピーまだ?」と言う声が聞こえ、顔を上げるとおろおろと取り乱す遠矢が見えた。
「あ! えと、すみません。うっかり他の書類と一緒にシュレッダーに…」
「なにやってんだよ、この急いでる時に!」
次の瞬間、遠矢の腕を引き、言いかけた言葉にかぶせるように怒鳴るその男の前から下がらせると、和也は二人の間に身体を滑り込ませた。
「悪い。まだ初日なんで大目に見てやってくれないか」
明らかに自分よりも年上の相手にも不遜な態度でそう言う和也に、相手は訝しげな顔をすると「もしかして知り合いなのか?」と訊ねた。
それに多少は事情を社長から聞いていたらしい課長があわてて何か言うより早く、にやりと笑って和也が答える。
「ああ。こいつはおれの嫁だ」
「か、和也さん」
和也の言葉に課にいた人間のどよめきが重なり、課長は天井を仰いだ。
なんという事を言うんだ、『このバ…』
「・・・か」
怒鳴りかけた自分の声で目が覚めた。
椅子の背もたれに寄りかかり、額に浮かんでいた冷や汗を手で拭う。
「夢か…」
よかった…夢で本当によかった。
「社長、いかがされました?」
お茶を運んできた秘書が、気遣わしげに覗き込むように訊ねてくる。 それへと何でもないと返すと、
かずやんパパこと代表取締役社長はこっそりと息をついた。
本当に夢でよかった。
頼むから現実にはならないでくれ。
<hr>
雑用のアルバイトというのは、何かの作品を参考にさせて頂いた
のですが、何だったか忘れてしまいました。

























