Dグレのキャラで物語つくってみた 08
- カテゴリ:日記
- 2009/11/02 14:14:06
重ね合わされた唇は今の私にとって不純でしか無かった。
きっ、と口を結び、直ぐさま顔を逸らす。
「…無理」
私は斜め下を睨み付けて、吐き捨てる様に言った。
キスは初めてじゃない。そしてそれ以上だって経験した事もある。
「む、無理…!?」
ウォーカーはこれ以上開かないという位目を見開いた。
私は嘲笑して、シーツを羽織ったままベッドを立ち上がる。
「だって貴方キス下手だよ」
表情変えずにそう言えば、ウォーカーは驚いて、暫く放心した後にがっくりとうなだれた。
「くっ、屈辱的です…」
私は鼻で笑って握り絞めていた手をぱっ、と離した。羽織っていたシーツが床に落ちる。
そして、壁に掛けられていた服に手を伸ばした。
すると、ウォーカーの短い悲鳴が私の耳に入って来る。
「ひっ、姫ちゃん!?」
見れば、半ば両腕で顔を覆いながらも、その微妙な隙間からこちらを覗いていた。
私は彼の真っ赤な耳と、僅かな隙間から顔を覗かせる、という奇妙なポーズを見て笑いが込み上げて来て。
「そんなに女の裸が珍しい?」
込み上げて来る笑いを必死で押さえた。
脱がせたのは彼ではない事が伺える。
「な、慣れてなくて悪かったですね」
・・・。
「ちょっと着替えるから」
私は彼に背を向けてブラウスのボタンを掛けていく。
背中にくすぐったいような、暖かくて柔らかい視線を感じて、どこか恥ずかしい。
私はどうかしているのかも知れない。
視線ごときに、胸を高鳴らせているなんて。
「あんまりっ…」
あんまり見ないで、そう言おうとしたその時背中に軽い衝撃。
「な…「本当に忘れちゃったんですか」」
口を附いて出た言葉は簡単に遮られ、代わりに切羽詰まったような思い詰めたような彼の声がした。
私とそう背の変わらない、彼の腕が脇の下から差し込まれ、私の腹を心地よく締
め付ける。
密着する彼の躯を背に感じて、身体の奥が熱くなった。
「何が?」
私は強がって、首に埋められた彼の顔を見ないようにして問う。
一体、私が何を忘れたと言うのだろう。
ウォーカーは続ける。
「僕の事です。…姫」
呼び捨てにされた名前、どこか心地良い彼の声。
私は彼と…会った事がある?
分からない。
もし会った事があるとして、私は彼と何をしたのだろうか。
しばしの沈黙、破ったのは私。
「…貴方は私の記憶には無い」
何故かそう言葉を紡ぐ自身の心が苦しい。
まるで言ってはいけない事を口にしたような気分。
彼は私に回した腕に力を込めると小さく呟いた。
「……そうですか…」
酷く落胆したような声で、それは今にも泣いてしまいそうな。
私はまるで何も悪い事をしていない子供を泣かしてしまった時の罪悪感に捕われ、顔を少しだけ彼に向ける。
「ウォーカー…?」
彼はもしかしたら泣いていたのかも知れない。
私からその顔は見えなかったけれど、小さな肩は小刻みに震えていたから。
回された彼の腕を、静かに解く。
「貴方は私を知ってるよね」
私は彼を振り返り、先程からの様子・言動を踏まえて問うた。
ウォーカーは下を向いていたけど暫くして顔を上げた。
「知っています、本当に小さな頃から」
それは、本当の事のようだった。
だって浮かべていた笑顔が太陽のようだったから。
私は頷いて、気は引けたけれど、隠しておいた銃に手を延ばした。
ゆっくりと構える。
「どうしてかな、私、貴方を殺せない」
私はそう言って、あろう事か銃を床に投げ捨てた。
そうでもしないと、押し潰されてどうにかなってしまいそうだったのだ。
何故笑うの、貴方を殺そうとしているのに。
何故泣くの、貴方を殺そうとする者の前で。
弱い所をさらけ出す貴方は、一体、私の何なのだろう。
「私どうかしてる」
私はそう呟いてその場に座り込んだ。
頭を抱え、自暴自棄になる。
「だって貴方に銃を向けたら、心が痛い」
本当は知っていた。ずっと分かっていた。
私は、彼を殺せない、と。
「心が、駄目って言う」
ウォーカーはそんな私の頭を優しく撫でた。
「大丈夫だよ」
彼は一体誰なのだろう。
殺そうとすれば、ブレーキがかかる。
その時だった。
彼がゆっくりと、切ないくて柔らかい、笑みを浮かべて呟いた。
彼の口から紡ぎ出された、言葉に目を見開く。
「…貴方は…」
彼は優しく笑って、頷いた。
「迎えに行く、と言ったでしょ」
私はその言葉に、声に、彼の全てに、埋まるはずのなかった、パズルのピースを
手に入れた。
何故彼を殺せなかったのか、心に感じていた焦燥感の訳も。
涙が頬を伝い、私を濡らす。
「会いたかった」
今、思い出す。
貴方の愛しい名前、幼い心に抱いた淡い恋心。
貴方に恋い焦がれた日々。
貴方と過ごした日々は、舞い散る桜のように美しく私を包み込んでいた。
貴方は私の全てだったから。
先程彼が呟いた。
…大丈夫だよ、僕が守ってあげる。
それは、遠い昔に交わされた、小さな約束だったのだ。
私は瞳を閉じて、眉をしかめれば涙を押し流して、精一杯に微笑んだ。
「…アレン…」
貴方を、思い出した。
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上手ですね(゜゜)
次回も
見にきます^q^