Nicotto Town


ユウの想いごと


小説『涙の箱』

ハン・ガン 著
『涙の箱』を読みました。

本書のことは
ニコ友のスターダストさんが
以前ブログで紹介されているのを拝見して知りました。
あっこれは読まなきゃいけない本だ と思い
2026年の読書初めの本として購入しました。

些細なことで涙を流す子どもが
「涙の箱」を持った黒服の男と出会い
共に旅をするというファンタジー。

主人公の子ども(おそらく女の子)は
心が揺れ動くたびに流れる涙のせいで
村の人々から「涙つぼ」と呼ばれ
子どもたちからからかわれ
母親には過剰に心配され
父親からはどこか厄介な存在のように扱われています。

一方黒服のおじさんは
人々が流した涙を採取し
それを結晶にして箱の中に保管し
涙を必要とする人のもとへ届ける仕事をしています。
悲しみの涙
悔しさの涙
喜びの涙。
涙は種類によって大きさや色彩もさまざま。

子どもの噂を聞きつけたおじさんは
彼女の涙こそ
「この世で最も美しい純粋な涙」だと考え
村を訪れます。
子どもはおじさんと
旅に出ることを決意するのです。

本書は涙という行為そのものをじっと見つめています。
人はなぜ泣くのか?
泣いたあと感情はどこへ行くのか?
答えは用意されていません。
読者の数だけ
人生の数だけ
違う答えが立ち上がるのでしょう。

私は読みながら
「寄り添う」という言葉が何度も浮かびました。
自分に寄り添うこと。
誰かに寄り添うこと。
涙はそのための小さな通路なのかもしれません。

悲しさがあり
けれどそれ以上に
やさしさと美しさが満ちている作品です。
読書そのものが癒やしになる という感覚を
久しぶりに思い出しました。

「大人のための童話」と銘打たれているけれど
未成年の方が読んでも
きっと何かを受け取れるでしょう。
文章はやわらかく
手触りがよく
言葉がじわりと体に染みてきます。

加えて装丁も挿絵も美しい。
折に触れて読み返したくなる
またこの場所に戻ってきたくなる
そんな本に出会えました。
 

#日記広場:小説/詩

アバター
2026/01/24 16:16
すごーい!確かに「これは読まねば!」ですね。
今年の最初の本としてとってもいいスタートですね。
時間が経って読み返したら、また違う思いが芽生えそう。
その時その時の自分がいろんなことを受け取れそうで素敵です♪
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2026/01/24 12:38
すごく解説が分かりやすくて
感謝です
アバター
2026/01/24 11:51
映画にしても絵画にしても、そして本にしても、ユウさんのブログはいつも的確にそれらの内なる光を導き出してくれます。これはお世辞なんかではなく、この本を読んだ時以上の感動を得られました。ありがとうございます♪



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