Nicotto Town


PAMPA -今日の気になる-


「トランプ級戦艦」は実現するのか?

米政府 新型“トランプ級戦艦”の建造を発表 「黄金艦隊」と命名 最終的には20隻以上に拡大 (TBS)
https://news.yahoo.co.jp/articles/3cbfb8808db9e1a6136b605ae7e9221a0c94febd



トランプ級戦艦、現代の海軍戦略と技術から見た現実味

1.「トランプ級戦艦」
構想は、かつての巨大な戦艦を復活させようというものです。しかし、この構想は現代の戦術とは大きくズレていると言わざるを得ません。

2. 現代の海戦では「巨大さ」が弱点になる
今の時代の海戦は、遠くから正確に飛んでくるミサイルや、超スピードで迫る極超音速兵器、さらには大量の無人機(ドローン)が主役です。 巨大な戦艦はレーダーに映りやすいため、敵からすれば「見つけやすく、狙いやすい標的」になってしまいます。動きも鈍いため、最新のミサイルを避けることは困難です。つまり、現代において戦艦は、最も生き残るのが難しい船の一つなのです。

3. 攻撃手段としての効率が悪い
今の海軍の主力は、ミサイルや航空機による攻撃です。わざわざ巨額の費用をかけて大型の戦艦を作るよりも、既存の駆逐艦とミサイルの組み合わせの方が安くて強力な戦力です。あえて大型の戦艦を作る合理的な理由は、今の武器体系の中には見当たりません。

4. 造船現場の現実とのズレ
アメリカの造船業界は、深刻な製造能力不足に悩まされています。レーダーに探知されにくい最新鋭のステルス艦「ズムウォルト級ミサイル駆逐艦」(排水量約1万5000トン、全長 183 m)でさえ、製造コストが高すぎて、計画が何度も変更され、当初32隻作る予定が最終的に3隻に削減されました。このような状況で、さらに大型の3万~4万トン級以上の戦艦を20隻も作るという構想は、現場の能力や予算を無視した、非現実的な計画だと言えます。

ズムウォルト級駆逐艦以外でも、米海軍の造船全体が遅延・コスト超過の慢性状態にあると、GAO(米政府監査院)など複数の監査報告が指摘しています。

そういえば、2016年には、ズムウォルト級駆逐艦の1番艦「ズムウォルト」が、時期は未定ですが、いずれ長崎県佐世保市の米軍基地に配備されるというニュースもありました。

5. 現代の戦術との矛盾
現在のアメリカ海軍は、一つの巨大な船に頼るのではなく、多くの艦船や潜水艦、無人機、戦闘機と無人機の組み合わせなど、「分散」させて戦う戦略を進めています。 大型戦艦のように「一隻に戦力を集中させる」設計は、この分散戦略と真っ向から対立します。また、戦艦を導入するには、それを守る護衛艦や、専用の補修基地をゼロから作り直す必要があり、運用面でも海軍全体に大きな負担を強いることになります。

ステルス艦の場合、単艦で作戦行動を取るほうが、他の自軍艦船からの電波放射がなく、敵のレーダーに補足されにくくなる利点があるので、一隻に対空、対潜、対水上などの防御力を持たせて単艦行動を取らせる事は有るかもしれません。

6. 戦略的な価値が低い 
戦艦に核兵器を積んで「抑止力」にしようという考えもあるようですが、これも得策ではありません。どこにいるか発見されやすく、ミサイル攻撃を回避できない戦艦よりも、海中に潜んで隠密性が高く、どこからでも核ミサイルを撃てる潜水艦の方が、圧倒的に抑止力として優秀だからです。

核ミサイルを搭載した戦艦は、敵軍が最初に叩く標的です。戦艦の核ミサイルが被害を受けると、自軍の艦隊が全滅する恐れがあるため、各国は技術は有っても核ミサイルを艦船に搭載していません。

7. 結論 
以上の点から、「トランプ級戦艦」構想は、現代の技術や戦略、経済状況のどれをとっても理にかなっているとは言えません。見た目のインパクトはあるかもしれませんが、実際の戦場での運用や製造、維持のコストを考えると、実現する可能性は極めて低い計画であると思われます。


#日記広場:ニュース




月別アーカイブ

2025

2024

2023

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008


Copyright © 2025 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.