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Dグレのキャラで物語つくってみた 04







私はその後を追い掛けた。全力で暗い路地を翔ける。

足には自信があった。幼い頃から殺しをしていた訳だし、足を前に出せば出す程
スピードが出る。


「逃がさない」


私は小さく呟き、銃を構えた。



グリップを片手で握り絞め、ハンマーを押さえる。それと同時にトリガーを引い
た。

響き渡る銃声と、ラビの声。


「ちょっ、姫ちゃん危ないさっ」


慌てたようにウォーカーの腕を引っ張り、塀の上に飛び乗る。


「うわぁ…姫ちゃん物騒ですね」


ウォーカーが私を見、目を細めた。

私は気にせずにハンマーを引き起こす。カラン、と空薬莢がアスファルトに弾き
出された。

目の前の男を殺して連れて帰れば、報酬金が貰えるのだ。

今度はウォーカーの足に狙いを定め、トリガーを引く。

再度響き渡る銃声。


「わあっ」


だが、彼は予想外にも上に跳んだ為、雷管は民家の壁に撃ち込まれた。


私は舌打ちして、もう一度ハンマーを引き起こす。


「次は外さない」


狙いはウォーカーの右肩。トリガーに指をかけ引こうとするができなかった。



「なっ」


私は後ろからウォーカーに抱きすくめられ、銃は回転しながら闇へ転がった。

彼の平らな胸に後頭部と背中が密着する。


「くそったれ!」


私は視認出来なくなった銃に対し悪態をついた。

ナイフがあるが、それを手にする事は出来なかった。

無かったのだ。

きっとラビに違いない。侮れない男である。

ウォーカーは私の首に腕を絡め軽く締め上げた。

私は色々な事に思考を巡らせる暇も無く、軌道が狭まり呼吸がしづらい状況に陥
った。


「ちょっ…アレン!?」


ラビが私に駆け寄り、ウォーカーを驚いたように見つめる。


「殺すなよ?」


切羽詰まったように瞬きして訴えた。

私は回されたウォーカーの腕を掴み、引き離そうとする。
調度自分で喉の中心を押さえ付けて居るような感覚。

ウォーカーはラビの問いに、まるで焦った様子も無く、暢気に答える。


「殺したりなんかしませんよ」


私は酸素が足りなくなり、足をばつかせ必死にもがいた。

と、不意にウォーカーの唇が私の耳に触れる。

首にかけた腕の力を少しだけ緩め、私の名を耳元で囁いた。


「な、何して…っ」


途端酸素が私の中に入り込み、私は言いながら勢い良く咳込む。


「ゲホッ…ゴホゴホッ」


喉が痒く、咳は中々止まらない。

ラビは慌てたように私の回りをうろついた。


「ちょ、アレンやり過ぎさ…」


そんな声が私の耳に入って来る。

私は私で返り討ちにあった事が悔しくてならなかった。

止まらない咳の中で、ラビを睨み付ける。

ウォーカーは私を抱きすくめたような格好のまま、囁いた。


「女の子が銃を使うなんて、らしくないですよ」


耳に息がかかり、背筋に悪寒が走る。

私は反論する間もなく、なすがまま、ウォーカーの腕の中に居た。

悔しいが、咳が止まらずどうにも出来ない。
 


「アレン、行こう!長居は危険さ…姫ちゃん苦しそうだし」


ラビが私の首にかけられたアレンの腕に自分の手を重ねる。

私はそんなラビを他所に、ウォーカーが言った言葉が頭を巡って、羞恥でどうに
かなりそうだった。


「離して」


小さな声で呟く。

ウォーカーが言った、らしくないという台詞。

それは多少なりとも私のプライドを傷付けた。

今まで色々な犠牲を払いながら、生きて。

だから、私はそんな事を言われたくなかった。

もう一度、大きな声で叫んだ。


「離して!」


しんと静まり返るその場。

私の啜り泣く声だけが響く。

ウォーカーに言われた事、返り討ちにあった事、悔しくて涙が出た。


「どうしたんさ…」


ラビが優しく私の頭を撫でる。

この男はつくづくわからない。先程から庇うような言動も見られたし、私は敵だ
と言うのに。

涙を拭いて、緩められたウォーカーの腕を解く。

まるで女の子のように細い腕だった。


「貴方は私が殺す」


私はウォーカーを睨み、銃を拾う。

ウォーカーは私を見て、何か言おうとしたが、結局何も言わず、くすり、と笑っ
た。


「僕が銃の使い方教えてあげますよ」



私は余計なお世話、と呟き彼等に背を向けた。


「またな」


とラビの声がして、2人の去る気配。

その瞬間私は膝を付いた。


まるで立って居られないような目眩と感覚。


「…くっ」


私は勢い良く膝を打ち付け、更に両手も付いた。

震える手でポケットを探り手鏡を取り出す。


「…あいつ」


小さく悪態を吐き、一点を睨む。

鏡に映したのは自分の片耳。

そこには細く、流さ7センチ程の針がピアスホールの横に突き刺さって居た。

麻酔。

きっと私の名を囁いた時、刺したに違いない。

私は嫌悪に眉をしかめて、素早くその針を引き抜いた。

小さな痛みと、一粒の血。

私は麻酔のせいで動きの鈍くなった体に鞭を打ち、少しずつ歩き出した。

まずは本部に帰って、麻酔を抜いて貰わなくては。

月が私を照らし出す。

私、変だ。

だって、先程抱きすくめられた感触が、耳に残る温もりが忘れられない。

苦しい思いを、悔しい思いを私に与えたあの男が。

アレン・ウォーカー。

どうして憎い筈なのに、私の心で笑っているの。





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