【イベント】ソロキャンイベント Vol.10
- カテゴリ:自作小説
- 2025/11/17 21:56:30
「なーんか… もう煮詰まっちゃいましたよ…」
時計はもう、夜の10時になろうとしていて。
照明の落ちた執務室には、椅子に浅く腰掛けて背伸びしている俺と、パソコン画面に映るボツ企画の案を見ながら落ち込む後輩女子の2人だけ。
「悪いな でも失敗すると分かってる企画を、俺も上にあげることはできないからそれは分かってくれ」
俺もやや沈んだ気持ちで答えてみる。
後輩女子が、先日ひらめいたセンで企画を組んできたんだけど、
俺ね
やっぱそれにGOサインは出せなかったんだ。
キャンパーってのは、案外幅広いんだけど、でもやっぱりニッチな分だけあって保守的なんだよね。
お互いの Win Win になれるようなイベントって、やはり無理があるってのはどっかで俺も気付いてたんだよ。
窓の外は、7月下旬の淀んだような、それでいてじめっとした蒸し暑さを現したような、湿った光を漂わせている。
俺も彼女も、無言のまま。
重苦しい時間だけが、ゆっくりと流れていく。
「困ったときは、初心に帰れっていうんだけどな…」
沈黙にやや耐えかねたんだろうな。
何気なく言ってみたんだ。
後輩女子、ふと顔を上げて
「先輩…今 なんて?」
俺はちょっと慌てて
「いや… 初心に帰れって そう思ったんだけど…」
「それですよ先輩!」
「ぇ?」
「それなんですよっ! もともとの企画は『ソロキャン』だったじゃないですか!
それを集客に寄せて、ファミキャンも対象に入れちゃったって… それがそもそもの間違いだったんじゃないですか!」
なるほど
それはそうかもしれない。
ニッチな企画にやや及び腰になってしまって、総花的な企画にぶれてしまったのかもしれないなって、俺も思い直してさ。
「ソロキャンと、ソロ車中泊のターゲットって、結構幅広いんじゃないでしょうか…
だから先輩も、私の企画にイマイチ納得できなかったっていうか、原点にもどってみてもいいんぢゃないでしょうか?」
「そうだな、だったらイベント案として、ソロキャンや車中泊で有名なyoutuberに声かけて、なんか講習会とか講演会とかみたいなのも入れ込んでもいいな」
俺も思いつきを口にしてみた。
「それですよ先輩! youtuberなら案件にも反応してくるかもですし、こうゆうターゲットなら、youtubeめちゃ見てそうですもん!」
一気に元気が出た彼女を見て、俺も
「分かった。俺のほうでソロキャンや車中泊youtuberに提案してみる。利益計算とかはオマエに任せるっ」
あっという間に企画が進み始めたんだ。
コレが、俺にとってのこの部署での最後の仕事になるんだろうな。ってそう思うと何だか胸がいっぱいになってくる。
コイツに成功体験をさせてやりたい。
俺はそう思って、心当たりのyoutuberへアクセスするためにデスクに戻ったんだ。
「せんぱーい! 今日もてっぺん(深夜12時)になっちゃいますねっ!」
笑ってるな。後輩女子。
これで勝負だ。
企画は任せた。
役員には、俺が全力で説得してやる。
頑張れよ…
そう思いながら、パソコンのキーボード叩く彼女の後姿に、笑顔の視線を向けてみたんだ。
それから1週間。
ソロキャンや車中泊で有名なYoutuberにコンタクトを取り、賛同してくれる人に強力を申し込んでみた。
案外、彼ら(女性もいたが)は乗り気になってね。
数名が、(商売抜きで)協力を約束してくれたのは望外の喜びだw
さぁ 勝負だ!
(続く

























失敗は成功のもと!!かな?!