生卵の触感
- カテゴリ:日記
- 2025/10/22 18:35:57
午後三時。紅茶の湯気が立ちのぼる。LINEの通知が鳴る。誰かが何かを言おうとしている。でも、私はその音に反応できない。耳が、音を拒んでいる。寒さが、聴覚の奥にまで入り込んで、言葉を受け取る余裕を奪っている。
紅茶の湯気が鼻腔をくすぐる。その瞬間、身体が少しだけ緩む。温かいものに触れたとき、身体は勝手に開いてしまう。それは、思考よりも早い。開いたまま、奥の方で何かが疼きはじめる。そこは、名前のない場所。触れられたことも、触れたこともないのに、確かに疼く。
黒電話のベルが鳴る幻聴がする。あの音に、身体が震える。受話器の重さ、耳に押し当てたときの硬さ。声が、鼓膜ではなく、粘膜の奥に届いてくる。その声が、皮膚の内側を撫でていく。撫でられた場所が、熱を帯びて、とろりとした感覚に変わっていく。
それは、輪郭を曖昧にしながら、奥へ、奥へと沈んでいく。
沈んだ熱が、ある一点で跳ねる。跳ねた瞬間、全身が裏返る。背骨が軋み、喉がひらき、波が、裂け目から溢れ出す。私は、そこにいた。そこにしか、いなかった。
そして、
その一瞬のあと、
すべてがほどけて、
すべてが満ちて、
すべてが、白く…




























痰すか?w