小説『書店主フィクリーのものがたり』
- カテゴリ:小説/詩
- 2025/08/16 10:23:19
ガブリエル・ゼヴィン 著
『書店主フィクリーのものがたり』を読みました。
2016年の本屋大賞翻訳小説部門受賞作です。
先日読み終えた『成瀬は天下を取りにいく』からの
本屋大賞つながりで選んでみました。
アリス島に一軒だけある本屋の
店主フィクリーと
彼をとりまく人々の物語。
フィクリーは気難しくて
そしてどうしようもなく本を愛している男。
妻を亡くし
店はさびれ
売れるのは観光客向けの軽い本ばかり。
彼の世界は
紙のにおいと活字の並びだけが頼りで
それ以外はもうどうでもいいような気さえしています。
ところがある日
大切にしていた希少古書が盗まれ
その代わりのように
店の片隅に
ひとりの赤ん坊が置かれているのを見つけます。
小さな手
小さな息
何も知らない目。
それはフィクリーにとって
まるで見知らぬ物語の
突然の第一行なのでした。
本を読むことは
自分の中に別の人間の声を入れること。
けれどその声が
血の通った生きた人間として目の前に現れたとき
世界はぐらりと傾くのです。
フィクリーはその赤ん坊を育てはじめ
ページの外の物語に巻き込まれ
島の人々との距離が少しずつ変わり
硬く閉ざされた心が
ほんの少しずつ解けていきます。
人生というものは
いったいどれだけ多くの
偶然と選択でできているのやら。
誰かと出会うこと
それはたぶん一冊の本を開くことと同じで
読む前には何も知らなくても
読み終えたときには
もう戻れない場所にいるのでしょう。
これは本と人とをめぐる
静かな奇跡の話。
これがAmazonで
中古で1円で買えるなんて。
(ただし送料別)
実費350円くらい、とてもお買い得でした♪
出会う人が多ければ多いほど、より人生が豊かになる気がしますね。
人と接するときには、なるべく謙虚でやさしくありたいです。
しかもそれが1円ですと!
送料の方がずっと高いじゃないですかw
でもほんとに、本も人も世の中も、いろんな出会いでできていますよね~
いい出会いを続けていきたいですね♪