Nicotto Town



落下する薔薇について


人はなぜ、むやみににたくなるのか。
それは、夜空に咲いた花火が、火傷するほど美しいから。
それは、崖の下に吹く風が、秘密を囁く恋人の声に似ているから。

死とは、決して終わりではなく、
封を切られぬラブレターであり、
決して触れられぬ皮膚の温度であり、
永遠に熟れない果実の、香りのようなもの。

運命はきっと、楽譜のない旋律だ。
音を知らぬピアニストが鍵盤を撫でるとき、
彼の指先は、どこかで既に別れを選んでいる。

それでも人は、生を全うしたいのではない。
ただ「死」という名の、無垢なドレスを
いつか纏ってみたいだけなのだ。

崇高さに酔いたくて、
哀しみの最終地点を、ロマンティックに思い描いてしまう。
ああ、それはまるで——
誰にも渡したくなかったバラを、自らの胸に挿すようなこと。

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