Nicotto Town


まったり時間。


花火大会の思い出



どどーん。どん、ばしゅーっ。

光の後に音が響いてくる。体をずん、と音が通り過ぎる。

家の二階から、毎年花火の上がるのが見える。

今年も、音だけ聞いていた。

犬がいたころは、花火の音が怖くて涙目になって、ぶるぶる震えているのをなだめていた。雷もそうだけど、犬には怖いものだったらしい。

涙やよだれをだらだらこぼして、ぶるぶるしているのを、大丈夫だからと言ってだっこした。

母がたまにのぞきにきて、花火を見に外に出たりしていた。

犬たちがあちらにいってしまい、母の介護が始まってからは、空を見上げる余裕なんてなかった。聞こえてくる音で、あ、花火の時期なんだと思うぐらいで。

綺麗なんだろうなと思いつつ、音を聞いていた。

二日ほど前、この地区の花火大会があったらしい。音が聞こえた。

でも疲れてしまっていて、外に出る気力がなかった。

家の中で、どどーん、ばしゅーっ、という音を聞きながら、いろいろ思い出していた。

小さなころは、浴衣を着るだけでうれしかったな、とか。

妹と手をつないで、はしゃいで走り回ったな、とか。

かき氷や、りんご飴がほしくて、買って買ってとねだったな、とか。

花火の歌をコーラス部で練習したっけ、とか。

父も母も、若い顔で笑っていたな、とか。

ふるえている犬をだっこして、大丈夫、大丈夫と言っていたら、情けない顔で見上げてきて。花火が終わった後もくっついてきて、そのうち、いびきをかいて寝てしまったな、とか。

忘れていたことを思い出して、やがて音が消えて、静かな夜に戻った後、

もう一度思い出を、胸の奥にしまう。

覚えているから、なくならない。

明日も日常は続いている。へこむことも、泣きたくなることもあるけど、

思い出は、なくならない。いつもわたしの中にある。




#日記広場:花火大会の思い出




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