傍観者
- カテゴリ:小説/詩
- 2025/08/03 21:55:00
夜は警告のように訪れる
この世界のどこかで今日も
誰かが処刑されたかもしれない
来る日も来る日もそれを数えながら
彼らは眠っていた
抱きしめようとする真っ暗な夢に
照明弾が打ち上げられ
真昼の明るさに照らされて
一斉に銃声が鳴り響いた
死に物狂いのこの夜が明ければ
誰にでも明日はやってくる
今朝、最初に出会うものは
罠のように笑いながら挨拶をするだろう
夢の中で死ななかった一つの顔
髭をそった戦争のやさしさに抱かれて
僕らは何も知りたがらないように一日が始まり
夕暮れ、薄っすらのびた髭は暗い夢に頬ずりをする
敷きつめられたアスファルトを血が染め
正義が血だるまになって
銃殺されたものたちをも追い払う
小さな革命はガードレールに追い詰められている
世界は記憶喪失の笑いにまみれていればいい
そうなのか
僕たちは立てかけられた銃のように眠っている
眠りながら傍観者を装うしかない
何人も足りない明日の朝を
震えた手で指差しながら