Nicotto Town



小さな朝






いい夢を見ていて目覚めたら

もう一度目を閉じて

その夢を見にいくと

君は言う

明け方が寒いほど

美しい夢に戻れるのだと

羨ましいなと僕は言い

8歳の娘は嘘だとはやし立てた

でも、時として真顔で君に

どうすれば楽しい夢に戻れるの? と尋ねる

 

一度見た夢には必ず戻っていける

一心にその夢の続きをみようとして

山の細い小路を分け入っていくように

そうすれば必ずいけると君は答える

 

夢はね、楽しければ楽しいほど

思い出せないようになっているの


楽しい夢の続きを見たいという幸せな気持ちが

布団のぬくもりのように残っていたら

君の寝顔が微笑んだ

私がその寝顔に見とれているのを

知っているかのように

もう一度微笑んで寝返りを打った

その寝返りの向こうに

小さな朝が生まれるところだった







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