叶わぬ人魚の恋の行き先は 最終話
- カテゴリ:自作小説
- 2025/07/31 20:08:33
「お父様、ごめんなさい。私が間違っていました。どうかお許し下さい。」
彼女はこう言って、お父様の部屋のドアをノックした。
僕はより一層緊張していた。心臓の鼓動がすごい。バクバクしている。
僕は緊張に耐えれず、彼女の後ろに隠れてしまった。ああ、どうしよう。
続いて、ドアを開ける音が聞こえた。僕は顔を下に向けてしまった。
出てきたのは、いかにも厳しそうな顔の男性だった。僕は何を言われるか分からず、パニックになっていた。でも、ここまで来たならもう後戻りはできない。きちんと説明をしよう。
僕はこれまでの事を説明した。夜の海辺で彼女に出会ったこと、彼女には好きな人がいて、会うために毎晩、人間に変身して海に上がっていたこと。
そして、人間と恋に落ちれない悔しさから大喧嘩して僕の家に泊まったこと等、こと細やかに説明をした。
僕と一通り説明を終えた後、彼は「そうか…」と言って少し黙った。沈黙が暫く続いた後、「娘が大変ご迷惑をおかけしました、すみませんでした。」と謝った。その後、「ほら、お前も謝りなさい。」と彼女に言った。
僕は、「全然気にしないでください。こうやって、無事に帰れたので何よりです。お父様もそうでしょう?」と言った。
彼は、「そうだな、君の言う通りだ。もしよければ、君の名前を教えてくれないか。」と言った。
「なおきといいます、この度は無事に帰ってこれて良かったです。そして、仲直りも出来て良かったです。安心しました。」と言い、更に続けて、「僕は海を上がった地上の世界に住んでいます。」と付け加えた。
彼は、「もしよければ、この国にずっといてくれ。君はしっかりしとる。君みたいな人が必要なんだ。もちろん、願いは何でも聞くぞ。」と言った。
「ありがとうございます、僕でよければ。この世界に来たのは初めてなので、ご迷惑を沢山かけてしまうかもしれませんがよろしくお願いします。」
「全然構わないぞ。しっかりした人でも失敗はあることさ。もちろん、私もだ。」
「そうですね、では今日から改めてよろしくお願いします。」
こうして、僕は彼女が住む人魚の世界に住むことになったとさ。この世界の生活については、またどこかで教えよう。
彼女も無事に帰り、お父様と仲直り出来たとさ。おしまい。
(⑉>ᴗ<ノノ゙✩:+✧︎⋆パチパチ