「あ〜、ついにこの日が来た！」

目覚まし時計が鳴る前に、麻衣は飛び起きた。普段は仕事のメールチェックから始まる朝だが、今日は違う。今日は、有給休暇！　そして何より、誰にも邪魔されないゲーム三昧の一日なのだ。

ベッドから滑り降りると、迷うことなくリビングへ直行。既に準備万端のゲーミングPCが麻衣を待っていた。コーヒーを淹れる時間も惜しいとばかりに、エナドリを片手にPCの電源を入れる。

「さて、どこから手をつけるか……」

昨夜のうちにダウンロードしておいた新作RPGのアイコンを前に、麻衣の顔にはニヤリとした笑みが浮かんだ。普段は社畜としてバリバリ働くキャリアウーマン。しかし、その裏の顔は、生粋のゲーマーなのである。会社の同僚には、決して見せることのない素顔だ。

ログインボーナスを受け取り、チュートリアルをスキップして、いざ広大なフィールドへ！　瞬く間に時間は過ぎ、気づけば昼を回っていた。コンビニで買っておいたおにぎりを片手に、麻衣はコントローラーを握りしめる。

「くっ、このボス、なかなかやるな……！」

唸り声を上げながら、麻衣は集中力を研ぎ澄ませる。何度かの全滅を乗り越え、ついにボスを撃破した時の達成感は、仕事で大型案件を成功させた時にも匹敵する。いや、それ以上かもしれない。

夕方、さすがに少し疲れてきた麻衣は、気分転換にオンラインFPSにログイン。いつものクランメンバーがすでに集まっていた。

「よーっす、麻衣ちゃん！　今日は早いね！」

ボイスチャットから聞こえる仲間たちの声に、麻衣は自然と笑顔になる。仕事の愚痴や、最近あった面白いことを話しながら、時に真剣に、時に笑いながらプレイする時間は、麻衣にとって何よりのリフレッシュだ。

夜が更け、麻衣はPCの電源を落とした。時間はあっという間に過ぎ去ったが、心ゆくまでゲームを楽しんだ一日だった。明日の仕事のことを考えると少し憂鬱になるが、今日得たエネルギーがあれば、また頑張れるだろう。

「よし、明日も頑張るか！」

麻衣は、満足げな笑顔でベッドに潜り込んだ。明日からはまた「バリキャリOL」に戻る。でも、麻衣の心の中には、いつでもゲームの世界が広がっているのだ。