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かきくけこのブログ。


陰陽師ゼロ 面白か

ちょっとネタバレ含むので見てない人は以下観覧注意
陰陽師ゼロっていう映画の話


博雅君という男。
 ひろまさ君という男、なんだか安倍晴明に堂々面罵されていて、うだつのあがらないようなどこにでもいるどうしようもない男。のような雰囲気をかもしだすただの顔がいいだけのイケメン。実際、カッコイイところは全部陰陽師の安倍晴明がもっていって、実力が無いっていうか、なんだか男としては頼りにならない。でもそんなのなんだっていうんだろう。陰陽師の世界では、呪術という妖しい魔法が存在していて、そんな呪術の前で、博雅君という男はむしろ丸腰で無理な世界で戦っている勇気ある戦士のような。そんなどうしようもないけど大切な将棋の歩感を出す博雅君。そんな頼りなくてここぞという時何の力もない、地位もない。酒にも飲まれる。好きな女の女心はこの世に無いかのごとくまったく見えない。なんていうか、物語の中ではわき役中の脇役。ひきたて役としての役どころ。ドラゴンボールでいったらベジータみたいな、絶対的な主人公との差が存在しているキャラクターで。でも、そんな博雅君なのに、よくよく考えたらこの男の人は女の人を守っているわけでも出世してるわけでもなんでもないのに、なんだかとってもいじらしい。かわいい。能力は無いっぽい役どころだけど、超絶イケメンが演じている、超絶イケメンである。いうなれば、顔だけで役に立たないという男なのである。こういうキャラクターって、なんであんなに魅力的なのか…。お顔も美しいし絶大な実力がある安倍晴明もカッコイイけど、なんだかどうして、そんな安倍晴明には絶対に太刀打ちできないベジータ様のような…。そんなどうしようもない男っぽい、博雅君と言う存在のアイロニーというか…。そういう男の悲しさというのが、あんまり期待してなかったけど実によく描かれていた。安倍晴明のカッコよさを見たかったから見た映画だったのに、見たら中身は、博雅君がどれだけ男としての哀愁をそなえたカッコイイ男なのかがわかる映画になっていた。もう、陰陽師っていうけど、これは陰陽師っていうタイトル詐欺である。博雅君とう名前にしてもいいくらい、博雅君がどれだけ縦社会で男として生きていくうえで悲しいのか、寂しいのか、そんな事がじわじわしみだしている、凄い映画だった。陰陽師のバトルはもう、オマケみたいなもんだった。博雅君のかなしい笛の音色と、その幸せの話を聞いて、あまりにも悲しすぎるその男の生き様に、ほええと号泣しないで見られませんでした。ホラーだけど、大きい音で驚かしたりいきなり怖い映像で心臓止まりそうになる感じではありませんでした。そういうのいいですね。

陰陽師安倍晴明の窮地を助ける博雅君
 博雅君は、主人公の一番の窮地を助けるという、非常に重要なキーパーソンでもあった。でも、なんであんなに無能っぽいキャラが、主人公を助けられたのだろう。けっこう無能力者な(笑)役どころの博雅君。でも安倍晴明のピンチを助けるのは、そんな無能感随一な博雅君だったのだ。それってどういう奇跡だったのか。一歩足を世に踏み出せば、どこにいっても男社会で男に馬鹿にされ続ける博雅君。帝には土下座の体。男としてのカッコよさってどこにあるのかという博雅君。でも、そんな無能感ある博雅君は、なんだかんんだで自分のそばにいる人を守れる男だったのかもしれない。安倍晴明を助けた笛の音には、虐げられ馬鹿にされ続けても音楽を手放さずに強く生きていた博雅君にしか出せない音楽の神が宿っていたのかもしれません。よくよく考えたら、安倍晴明みたいに強い男でもなんでもなく、ただただ普通の能力しかないのにあんな呪術が当然ある世界に生きてたら、普通の男たちにように欲にまみれて炎で焼かれていてもおかしくないのに、博雅君は安倍晴明と同様に火に飲まれなかった。その理由が描かれていないのは物凄く興味深かった。もっと深堀してもいいような気がした。

博雅君の笛
 博雅君は「笛ふいてたらどうでもよくなるんだ」的な事を言っていた。それだけ聞くと、なんだかちょっと、アリとキリギリスに出てくるキリギリス君みたいでおかしみもあったり、なんだか単純っていうか。それだけ聞くと、「音楽が好きなんだな」っていう受け取り方もできるけど、博雅君という呪術のある世界に生きているキャラクターにとって、笛は生きる事に組み込まれているようなものなのかもしれない。陰陽師が呪術を使って生きる事と同じように、博雅君は音楽を使って生きているという存在なのかもしれない。物語ではそこまで凄い音楽家として描かれていなかったけど、博雅君の笛には、間違いなく呪術と同じ不思議な力が宿っているという描写があった。博雅君はそれを自覚してなくて、安倍晴明に教えられていたけど、博雅君の笛には、博雅君が生き延びるだけのエネルギーというものがあるから、博雅君は欲の火にも飲まれず、安倍晴明の窮地も助ける事ができたのかもしれない。そう考えると、安倍晴明のおばかな引き立て役みたいな感じでしたが、あの映画の博雅君というのは見る方向が違うと、博雅君こそ凄い伝説のミュージシャンという側面があるというか、音楽で人を助ける事ができてる時点で、やっぱり凄いミュージシャンであるのは間違いないと思えて、博雅君はそれだけ凄い事をやっているのに、あんまり自分が凄い人とも思わずおごらず偉ぶらず、難しい事はわからないなと嘯く。でも安倍晴明と並んで話してるだけでも結構凄い事な気がします。夜になったら、「いい月だな」って月を堂々と褒めだすし…!もう、そういうところが安倍晴明のお気に入りのところなのか…?とか思っちゃったりして。でも本人計算してなさそうなところが、もう天然の小悪魔っていうか。ああいう計算してるのかしてないのか、でもたぶんしてないんだろうな…っていう感じの絶妙な残念感のある情けない頼りないところがいっぱいあるどこにでもいそうな、顔だけいいっていう男の人って、ほんとにもう、主人公も顔負けでも~、主役を食うっていうのかな。こういうのが。ほんといいキャラクターだったな~と思った日だった。陰陽師がほんと、おまけだった。





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