新しい炎
- カテゴリ:小説/詩
- 2025/05/17 22:00:21
その刀はどこで手に入れたのかと聞かれて
アステカの酋長は空を指差した
神からの神聖な贈り物であるかのように
誇らしげに
流星が輝いて われらに
鉄をもたらしたのだと
文明を纏った人たちは
笑顔でそれを聞いた後
神の形相をして彼らを滅ぼした
地面から掘り出された鉄が
天空の神とその民を打ち砕いたのだ
空から来ても
地の底から来ても
鉄は鍛えられるといつも寂しい
鉄はいつも錆びたがっていたが
それが許されず
輝く鋼に鍛えられるとき
鉄は自らの鋭さを見失い
刃向かうものを鋭断した
それから時が流れ
地中深く眠っていた新しい火が掘り出され
不安げに見守る人々の前に並べられた
人間たちはそれを新しい炎と呼び褒めたたえた
炎は空からやって来た!
美しい景色は一瞬のうちの焼き尽くされ
地表は目に見えぬ死の霧で満たされ
それを悲しむものはどこにもいない!