満月の夜
- カテゴリ:小説/詩
- 2025/05/15 21:28:22
ドアを叩いたのは青白い布を纏ったお前だ
月が満ち始める前にユニコーンに跨り
月の谷を渡って来たという
バルコニーに置いたヒイラギを擦り抜け
月の光のように入ってきた
部屋のあちこちで、
散乱したもの、欠け落ちたもの、
古いがらくたなどがキラキラと光り始めた
月が満ち始める前にユニコーンに跨り
月の谷を渡って来たという
バルコニーに置いたヒイラギを擦り抜け
月の光のように入ってきた
部屋のあちこちで、
散乱したもの、欠け落ちたもの、
古いがらくたなどがキラキラと光り始めた
金星は既に沈み
小さな星々が軌道を描いて西の空に傾く
光が数万年かかる距離を超えて僕の前に現れたのか
室内はほの暗いつぶやきで満たされてきた
小さな星々が軌道を描いて西の空に傾く
光が数万年かかる距離を超えて僕の前に現れたのか
室内はほの暗いつぶやきで満たされてきた
たとえば
大好きなティラノザウルス
土器のかけら
愛犬にかじられたゴルフ手袋
皆がつぶやき出した
それらはみな今夜の月のようにひっそりと
失われた記憶を満たしてくれる何かを秘めている
僕らはそれらのつぶやきの川を遡りながら
かれらの記憶を辿る旅をした
そして僕らは決して知ることのないだろう遥か未来で
地球という星に生きるものたちのことを語った
大好きなティラノザウルス
土器のかけら
愛犬にかじられたゴルフ手袋
皆がつぶやき出した
それらはみな今夜の月のようにひっそりと
失われた記憶を満たしてくれる何かを秘めている
僕らはそれらのつぶやきの川を遡りながら
かれらの記憶を辿る旅をした
そして僕らは決して知ることのないだろう遥か未来で
地球という星に生きるものたちのことを語った
「人間はやっぱり美しい存在なのだ」とお前は言う
そして僕は
「この青いガラスのかけらとおなじようにね」と同意した
そして僕は
「この青いガラスのかけらとおなじようにね」と同意した
この地球がサンヨウチュウや恐竜やマンモスを乗せて
幾度(いくたび)も太陽の周りを巡ってきた長い時間と闇を
僕らは思い浮かべた
幾度(いくたび)も太陽の周りを巡ってきた長い時間と闇を
僕らは思い浮かべた
見上げると月はまん丸くなって中天を几帳面に移動している
部屋のガラクタたちも元通り整列し始めていた
窓の外にユニコーンの影が待っている
そして月がお前の帰り道を照らしていた
部屋のガラクタたちも元通り整列し始めていた
窓の外にユニコーンの影が待っている
そして月がお前の帰り道を照らしていた