最期の夜月
- カテゴリ:自作小説
- 2025/05/14 00:11:13
第二十四章
…「おぉ!すっごい美味しい!」私は思わず声を上げてしまった次第だ。とてもあっさりとした味のするオムライスだ。…「んね?美味しいでしょ?」と彼は笑っていた。…「うん!肇さん天才!」と私も笑った。…「そんなそんな、でも嬉しいです!」と初めての食事にしては珍しい物を食べさせて貰った。時刻がそろそろ肇さんのバイトの時間が迫っていた為、私は…「お茶碗は洗っちゃうから、肇さんはバイトの支度でもしててね」と伝えると…「あ、ありがとう」と素直に答えてくれていた。…「そ、それじゃあ食べ終わったらバイトの支度させて貰うね」と言っていた。私は…「うん、任せて」と彼へと笑顔を向ける。…「ほんと、美味しいね!お醤油でオムライス食べるの初めてだけど、すっごい美味しい」と彼の作ってくれた食事を堪能した。二人して採る食事はとても楽しい時間だった。…有難いなぁ…としみじみと感じながらもあっという間に完食してしまった私だ。彼もまた私と同じタイミングで完食したらしく、二人して笑顔を向け合い、…「ご馳走様でした」と手を合わせた。…「少し一服でもする?」と彼へと尋ねると、彼は…「うん!」と楽し気に笑っていた。…「じゃあ一緒に吸おうか」と彼を誘う。二人ともテーブルに煙草を置いていた為、お互いに煙草に火を点け吸い始めた次第だ。私は深く深く呼吸するかの様に煙草の煙を吸い込み、ゆっくりと吐き出していた。少しばかり彼を観察しようとする私が居る。彼は何度か咥え煙草をしてみせた。…何かしら考える事があるのだろう…大丈夫だろうか…「肇さん?昨日の今日だけど、無理しないでね?」私は声を掛けると彼は…「うん、ありがとう、美月さん」とにこやかに笑い掛けてくれていた。私は一つの提案をしてみる事にした。…「ね?肇さん?」…「ん?」と彼との会話が始まる。…「これだけは約束して?絶対に無理して笑ったりしない事」…「あぁ…うん、なるべく普通に居られる様にしてみる…」と彼なりの返事が返って来た。…「うん、そうして」二人の会話はとても温かい空間だった。…「美月さん、それじゃあ僕バイトの準備しても大丈夫?」と問いかけられた私は…「勿論だよ」と笑顔で応えた。