詩集
- カテゴリ:小説/詩
- 2025/05/10 21:44:21
理由もなく古本屋で買い求めた詩集を
近くの喫茶店で読み終えると
本の上にうっすら埃がついているのに気付いた
それを掃おうとして表紙で指を切った
近くの喫茶店で読み終えると
本の上にうっすら埃がついているのに気付いた
それを掃おうとして表紙で指を切った
本屋の棚に何年も置かれていたのだろう
その汚れを気にした私の心を
静かに深く切り裂くかのように
静かに深く切り裂くかのように
血が滲んできたが痛くはなかった
日常に埋没して生きている愚かさを
静かに許してくれるために
小さい傷は作られたのか
いや、そうではなく
そのような日常を是とする感傷をまとった
不遜のようなものが
きっとあったにちがいない
それをかわそうとして
何かが私の手からすり抜けていったのだ
日常に埋没して生きている愚かさを
静かに許してくれるために
小さい傷は作られたのか
いや、そうではなく
そのような日常を是とする感傷をまとった
不遜のようなものが
きっとあったにちがいない
それをかわそうとして
何かが私の手からすり抜けていったのだ
目的もなく生きることは死を抱え込んでいる
死は眠りと似通って私を誘う
翌朝目覚めるかどうか
ただそれだけの違いだ
夜が来れば
夢のように再び暗い波となって
私を洗い流す
死は眠りと似通って私を誘う
翌朝目覚めるかどうか
ただそれだけの違いだ
夜が来れば
夢のように再び暗い波となって
私を洗い流す