Nicotto Town



手紙




『小さな薄い辞書だけを持って、見知らぬ国に住んでみたい』

そう言い残して君は僕のもとを去って行った


それから数ヶ月が過ぎて一通の手紙が僕のもとに届いた

自分を語る言葉を捜しているとページをめくる手が透き通ってきました

やがて、全身が消えてしまうと他の人には風に吹かれてページがめくれているように見えるようです

心の通わない挨拶、木々でさえ人工的な都会の様相、物に囲まれた生活

そして何よりあなたが言う「これが普通の生活さ」


大きな辞書がなければ、自分も世界も説明できないと嘆いていたあなたは、まだあの東京に住んでいるのですね。

あなたは本が山と積まれた部屋や大きな図書館が好きでした

私は単純な言葉で人や世界と仲良くなりたい!

少ないからこそ、恵みと慕われる雨のように

それが集まって生き物を潤す泉のように

言葉が足りなければ見つめ合えばいいのに

溢れる笑顔で見つめ合っても足りなければ

裸足になって踊りましょう

要らなくなった言葉は辞書の中に返しましょう!


あ、ごめんなさい!

頭でっかちのあなたはダンスが苦手だったわね!

あなたが寂しがって涙を流していたことは知っていました

あなたが気付かないように、頬の涙を乾かしてあげたわ!

もう涙を流さないでくださいね

あなたはダンスを覚えて

そうして笑顔で私を見送って下さい


アバター
2025/05/08 22:05
手紙なんて昭和だね!(≧▽≦)



Copyright © 2025 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.