手紙
- カテゴリ:小説/詩
- 2025/05/08 22:03:12
『小さな薄い辞書だけを持って、見知らぬ国に住んでみたい』
そう言い残して君は僕のもとを去って行った
それから数ヶ月が過ぎて一通の手紙が僕のもとに届いた
自分を語る言葉を捜しているとページをめくる手が透き通ってきました
やがて、全身が消えてしまうと他の人には風に吹かれてページがめくれているように見えるようです
心の通わない挨拶、木々でさえ人工的な都会の様相、物に囲まれた生活
そして何よりあなたが言う「これが普通の生活さ」
大きな辞書がなければ、自分も世界も説明できないと嘆いていたあなたは、まだあの東京に住んでいるのですね。
あなたは本が山と積まれた部屋や大きな図書館が好きでした
私は単純な言葉で人や世界と仲良くなりたい!
少ないからこそ、恵みと慕われる雨のように
それが集まって生き物を潤す泉のように
言葉が足りなければ見つめ合えばいいのに
溢れる笑顔で見つめ合っても足りなければ
裸足になって踊りましょう
要らなくなった言葉は辞書の中に返しましょう!
あ、ごめんなさい!
頭でっかちのあなたはダンスが苦手だったわね!
あなたが寂しがって涙を流していたことは知っていました
あなたが気付かないように、頬の涙を乾かしてあげたわ!
もう涙を流さないでくださいね
あなたはダンスを覚えて
そうして笑顔で私を見送って下さい

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- ヘルメス
- 2025/05/08 22:05
- 手紙なんて昭和だね!(≧▽≦)
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