とはずがたり~香~その7
- カテゴリ:日記
- 2025/05/03 09:00:59
天然香料が優れているとかいないとか時々話題になるけど、なんとも言えない。天然香料も合成香料も良いところと違和感がある。
天然香料の良いところは香りのキレの良さ。決して薄くはなく、しっかり香るのにある時間を過ぎるとスパンと香りが消えて残り香もほとんどない。これを香り持ちが悪いという人もいる。また天然=安全ではなく、天然成分はいろんな成分が細かく複雑に入っているので、いつ何時アレルギーが発生するか分からない。加えて例えば私の大好きなジャスミンのニュースで、香水用の花を摘むのに労働力の搾取が行われていたと言うような話もある。環境破壊も気になるし。だから香水は安ければ良い、高ければ良いではなく、働く人や環境への対価がきちんと払われるなら高くても良いと思っている。香りは濃くても透明感がありキレが良く、深い、そんな感覚がある。
対する合成香料は、化学的に作るので安全性の確保がしやすい。そして恐ろしく香り持ちが良い。もちろん配合率にもよるけど、いつまでも香りが残る、残ってしまう。イメージとしては香りの色調はマット。天然香料が水彩画なら合成香料は油絵。なので、実は時々合成香料で苦手なものがある。いつまでも残るは意外と厄介だ。
実際は合成香料と天然香料が一緒に使われていることが多いし、中には合成香料にフォーカスしたノーメンクレイチャーやエセントリック モレキュールズもあるので、その時々によって使えばよいと思っている。
そして天然、合成問わず、好きな香りと嫌いな香りがある。苦手な代表格はタバコ。一時期、タバコ入りの香水が増えた。
最初、タバコの香りと言うのが良くわからず、ペンハリガンのチェンジングコンスタンスを店頭で試した。塩バターキャラメルにタバコ、想像がつかない。最初はすっきりとした香りが現れ、意外と重くない。このすっきり感がタバコかと感動した。その時はフローラを購入していたので、良ければ次回と電車に乗り込んだ。が、良かったのはここまでだった。電車に揺られる間、どこかにきついタバコ臭の人がいるのか、臭くてたまらない。臭いはどんどんきつくなり、頭がぐらぐらする。犯人は先ほど試したコンスタンスだった。駅構内のトイレにダッシュしたのは言うまでもない。
それ以降、タバコが入った香水は全部避けている。タバコ好きの人が言うには、本質を分かっていない、所謂タバコの臭いではなくタバコの葉のすっとした香りだと言うが、私には全くダメだった。
香水好きには意外と喫煙者も多い。匂いに慣れているのかもしれない。あと、全く理解できないのだが、法的に認められた大麻類似の香りや成分の入った香水が一時期沢山出た。SNSは購入希望者で大騒ぎ。そもそも大麻経験が無ければ需要なんて無いと思うのだが、騒いでいる人達はご経験でも?深入りはしなかったけど、なんとなくグレーな印象を持った。
新宿の百貨店を見ている時に、大麻の香りのする香水ですと勧められて、ムエットを渡されたことがあった。青臭い藪の香り。私には夏の草刈りに追い立てられる香り。何が良いんだか全く分らんし、そもそも大麻吸引なんかしたこともないので、それが大麻の香りか分からなかった。「藪の臭いがする」と言ったら、店員さんひいてたな。こっちからすれば大麻の香りが分かる方が、ちょっと警察案件だと思うんだけど。
大麻に関する法律が変わった今、もしかしたら法規制に引っかかる香水もあったかもしれない。大麻系香水は1年くらいだったかな、今はすっかり鳴りを潜めている。そりゃそうだろ。改正前は合法だとしても今は違法だ。急に市場から消えた大麻系香水は怪しいかも。
レザーの香りもあまり得意でない。こちらは全部ダメと言うより、ほんの少し混ざるのであれば深みを感じるが、堂々レザーが出てくるとアウトになる。リキッドイマジネールのヴュヴェール ドゥ ヴァンはホースレザーの香りが主役なので点使いでも脱落したが、サノマのレザーはインセンス、ローズ、スパイスの中に差し込む感じがあるのでいと思う。サノマの香りはその時々で良い意味で香りが揺らぐ。ふらりふらりと変化するのが良い。ただ、なかなか新作が出ないので、そっとしている。
ウッディ系は好きだけど暴走する。特にサンダルウッド(白檀)の無双っぷりにやられる。ウッディ系はお香に通じる香りでたくさん使われているし、基本好きなのだが、サンダルウッドが入ると、それが前面に出てくる。綺麗を通り越して癖まで出てくるので、なかなか難しい。冬はまだしも5月くらいになれば少しうるさくなるし、夏につければ事件発生。肌が燃えるように感じるので扱いが難しい。
イリス(アイリス)の香りも得意ではない。名香で香水好きならそのパウダリーな香りにうなっているが、私は別の意味でうなってしまう。香水の素人なので気にはしないし、個性だと思っているが、世にいう名香は、私にはハードルが高い。