Nicotto Town


なるべく気楽に気楽に~!


最期の夜月

第二十二章

…「美月さんはオムライスケチャップ派?それとも醤油派?」唐突に聞かれた事に、…「あはは…いきなりだね、んー私はケチャップ派かなぁ」と笑いながら答えると、…「僕と一緒だぁ!」と嬉し気に笑う彼に何だか安堵感を覚える。…「でもオムライスに醤油派っているの?」と笑いながらも聞いてみる事にした。…「それがね、たまにいるんだぁ」…「へぇ、なんか不思議だね」…「んね…ははは、色んな人いるから、カフェでバイトしてて不思議な事もあるんだぁ」と、爽やかに笑う笑顔が私は好きだった。小一時間だろうか、彼と他愛ない会話を続けている間に米が炊き上がる音が鳴っていた。…彼は、「お?、お米炊けたかな」とキッチンへと向かっていく。…「炊けてる、炊けてる」と彼は嬉しそうに…「チャッチャッとオムライス作っちゃうね」と…「えーっと、フライパン…ってどこだっけ」と私へと尋ねていた。彼の立っている下の方にフライパン等はあった為、…「下の引き戸を開けてみて?」と私は答えた。…「おぉ、あった!」と嬉しそうに笑う。彼はそこにある油やらを取り出しつつ、手際良く炊けたお米をケチャップライスにして行く。…「今日はお肉なしだけど、美味しく作るから、どーんと任せちゃって」とお茶目に言う。それがとても温かな時間の様に過ぎて行く。…私は、そう言えばお肉は無いけど、シーチキンあったなぁ…と彼へと…「ねぇ、肇さん?お肉は無いけど、シーチキンならあるよ?何だか違うオムライスになっちゃうかな…」と苦笑いにも似た笑い方をしてしまった。…「おぉ、何だか美味しそうだね!シーチキンオムライス!作ってみようかな!」と楽し気に笑う彼に…「良かった…」と安堵感が言葉に出てしまった私だ。…「あ、シーチキンの具になると…何かしら出汁とか…あるかな?」…「お出汁?果粒でも良いのかな…?」と尋ねる事にした。…「あ、うん!なんでも大丈夫!」と答えてくれた彼に、…「えーっとね」とキッチンを漁り始めた私は、…「確か…昆布だしか、かつおだしが有ったと思うけど…」と2種類の出汁を見付けた私は、彼へと…「どっちが良い?」と尋ねた。暫く考えた彼は…「うーん…じゃあ昆布だしを使わせて貰おうかな」と言っていた。…「うん、了解」と彼へと昆布だしを渡し、…「どんな味になるんだろうね、凄い楽しみ」と笑って彼へと問いかけた。…「任せといて!ぜーったい美味しく作るから!」とにこやかに且つ爽やかに笑う彼がいた。…肇さんの味に期待して待ってよ…そんな風に考える他なかった。…楽しみだなぁ、ほんと…と何だか二やついてしまう私を見て、彼は…「美月さん、何にやついてるの、ふはは」と笑顔で言ってくれていた。…「何だか、面白そうなオムライスになりそうだなって思って、あはは」と素直な言葉が出てくる。…「だーいじょーぶ!どーんと任せてって!」とにこやかに笑う彼に…「うん!」と私迄笑顔になってしまう。…「楽しみにしてるね」と伝えると、…「うん!美味しく作るからね!」とまた手際よく不思議な物になってしまったオムライスへと集中するようだった。そんな彼の顔はとても美しかった。




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