最期の夜月
- カテゴリ:自作小説
- 2025/04/24 03:09:01
第二十章
彼は一つ一つ確認を取る様に、…「美月さんはお砂糖なしのカフェオレが好きだったよね?」と聞く。…「そう、ありがとね」と温かな時間が流れる。私は少しづつ起きて来た思考で…「肇さんも自分のコーヒー作りなよ?」と彼へと伝えると、…「わぁ、ありがとう」と嬉しそうに答えていた。…「うん、一緒に飲もうよ」と彼との時間を大事にするかの様に伝えた。…「うん!美月さんと一緒に飲むー!」と陽気に答える。…「こんな事言って良いのか分からないけど、肇さんってお茶目だよね」と私はにこやかに彼へと伝えた。…「そ、そうかな?…はは、何か恥ずかしい」と照れたように答えていた。…なんだか、可愛らしい人だな…と考えてしまう。…「でも、お茶目って言うと美月さんもそうだよ」と素敵な笑顔で私へと伝えてくれた。…「そ、そうかな?…あはは、恥ずかしいもんだね」と私は返した。…「でしょ?…でも本当にそう思ってるからね、お世辞とかじゃなくて」と言ってくれた。…「ありがとう」と素直な彼の言葉や雰囲気に飲まれ、私も素直に言葉が出てくる。…本当に不思議人だな…こんなに私素直だったけ…と自分が自分じゃない感覚に襲われる。…決して嫌な感覚ではなく…それどころか心地が良いと思ってしまう程だ。…「あ、そろそろコーヒー出来るよ」と言われ、私はテーブルへと移動した。煙草、灰皿、ライターを持って。…「ありがとう、肇さん、一緒にコーヒー飲もう」と彼を誘う。…「うん!」テーブルへとコーヒーを運んでくれる彼は素敵な様に見えた。…「なんか、良いね肇さん、コーヒー運ぶ姿が様になって見える」と言うと…「ははは…どういう事、それ」と笑いながら、私の前へとマグカップを置いてくれた。…「ありがとう」と伝え、彼は私の目の前に座ってくれた。…「頂こうか」…「うん!」とお互いに頂きますと言葉にし、コーヒーを飲んだ。…「コーヒー飲んだらオムライス作っても大丈夫?」と尋ねられた私は…「うん、お願いして良い?」と答えた。…「肇さんの作ってくれるオムライス、楽しみだなぁ」と煙草をふかしながら彼へと伝えた。…「僕、自分で言うのも変だけど…オムライス自信あるんだー」…「あはは、自分で言っちゃう?」と笑ってしまった。…「でも、本当に楽しみだよ」…「美月さんの為に美味しく作るんだー」と楽し気に笑っている彼を見ると安心してしまう。…「そろそろ美月さんは朝ご飯食べれそう?」と聞く彼に…「そうだね、そろそろ煙もコーヒーも堪能したから、一旦歯磨きしてくる」と彼へと伝えると「うん!」と楽しそうに笑って返してくれる。…「肇さんは洗顔とか歯磨きとか終わった?」と尋ねると…「実はまだ…」と照れたように言う彼に、先に洗顔とか歯磨きしちゃって良いよ」と彼を促す様に言った。…「あ、でも僕洗顔フォーム持ってなくて…」と…あぁ、そっか色んな「過去」をあの部屋に置いてきたのだろう…と私は考え、…「肇さん、一旦洗面台に来て」と彼を呼ぶ事にした。…「私より早起きしてるんだから、洗顔済ませちゃって」と、洗顔フォームの位置を確認して貰うかのように彼へと伝える。…「ここにあるから、洗顔しちゃって、ね?」と彼へと伝えると…「あ、ありがとう美月さん」そう言っていた。…「全然だよ」と…「えっと、歯ブラシとかはあるの、かな?」と尋ねると、…「うん、歯ブラシと歯磨き粉は持って来たよ」とにこやかに笑う。…「よし、じゃあ洗顔、歯磨きしちゃってね」と伝え、…「ありがと、本当に」と彼から感謝の気持ちを伝えて貰った私だ。…「とんでもない、食事迄作ってくれる肇さん」と笑ってみせた。