誰が何のために? 不思議な大糞の謎
- カテゴリ:その他
- 2025/04/20 10:30:40
これから私が書く話はとても滑稽で、創作したものとしか思えないかもしれません。しかし、二十数年前に私の身に起きた正真正銘ホントのことです。
当時、私は東京のIT企業で働き始めた新人で、会社の寮に住んでいました。アパート一棟を会社が借り上げたもので、23区外とはいえ、そこそこ発展したM市にありました。寮は比較的利用者の多い道路に面しており、深夜でも人や車が通ります。私の部屋は1階の東南角、一番道路に近いところでした。
そんな場所を拠点に始まった社会人生活。当時、IT業界は―ひと頃ほどではなくなったとはいえ―まだまだ勢いがありました。私も公共性の高いシステムを開発するプロジェクトに配属され、「徹夜・休出上等!」という昭和ド根性でがんばっていました。毎日終電で帰宅し、食事もそこそこに就寝。短時間の睡眠で起床、身支度を整えて、殺人級の満員電車で都心に向かう。こんな生活をしばらく続けていました。
激務の日々でしたが楽しかったです。元々コンピューターに興味があったので、日がな一日モニターとにらめっこすることは苦痛ではありませんでした。また、寮に同期が何人か住んでおり、たまたま帰宅時刻が重なったときに飲みに行ったり、休日にみんなで郊外に遊びに出たりしたおかげだと思っています。
その日も同期連中でドライブに行こうと約束していました。遠方の人気のあるスポットを目的地にしていたのですが、ドライバーYの「渋滞が始まる前に都下をぬけたい」という意向もあって、早朝5時に寮を出発することになっていました。私は前日の仕事の終わりが終電間際で、自宅のドアを開けたのは日付が回った頃だったと記憶しています。朝早く起床するとほぼ眠る時間はない状況でしたが、
(車内で寝ればよいか……)
と思いつつ、床に入りました。
この時は何でもない日常だったのです。外からは時々自動車のエンジン音が聞こえましたが、それもいつものことです。私はたちまち深い眠りにつきました。
気づくと電話が鳴っていました。私にはついさっき目を閉じたばかりに感じられましたが、それは気のせいで、誰かがなかなか起きてこない私にしびれを切らして電話をかけてきたのでしょう。
(寝坊したか…… しまったなぁ)
と思いながら受話器をとりました(当時、携帯電話はありませんでした)。電話をかけてきたのはYでした。
私「ごめん。今、起きた。」
Y 「うん。いや、それはいいんだけどさ、ちょっと外に出てきてくれない?」
私「外? まだ準備してないけど、とりあえず外に行けばいいの?」
Y 「そう。ただ、ドアを開けるときには足元に注意して。」
(足元に注意って、変なこと言うなぁ……)
寝ぼけ眼をこすりながら上着を引っ掛けました。サンダルを履き、外に出ようとドアを開けた私が見たのは、衝撃的なモノでした。
扉の外、正にいま一歩を踏み下ろそうとしたコンクリートのその場所に大きな糞があったのです。
直径約30cm。厚さ約3cm。色は小麦色の肌ぐらい。乾きかけのようですが、ところどころヌラヌラと寮の電灯を反射しています。某有名RPGのスライムを上から押してつぶしたらこんな形になるだろうと思うキレイな円形。そして中心にはご丁寧にツノ(?)まで生えていました。
Y 「おまえ、これ何だよ?」
起きていきなりの非日常的光景をくらい、しばし呆然としていた私にYが声をかけてきました。
私「何って…… 分からん…… 昨日はなかった。」
Y 「おまえがしたんじゃないのか!? 酔っ払ったかなにかで! 脱糞しただろ!!」
私「そんなわけないだろ! こんな大量に人間の腸に入ってるわけない!」
理不尽なYの詰問に、わけの分からない反論をしてしまう私。しかし、本当にそうなのです。ヒトの下腹に収まる量ではありません。しかも、ヒトの肛門からひねり出したのなら太めの縄状になるはず。このような円形の糞は少なくともヒトのものではないでしょう。
かといって、動物とも思えません。量を考えれば大型動物でしょうが、そんなものはこのあたり一帯には生息していません。家畜もいません。仮に、変人がどこかからなにか大型動物を引っぱってきたとしても、車通りがそこそこある道を深夜に歩いていたら警察沙汰になっているはずです。
出自不明の糞。
Y 「とにかく他の連中が来る前に片づけておけよ!」
私「え!? 俺!?」
Y 「そりゃそうだろ。おまえんちのドアの真ん前にあるんだから。」
私「やだよ! こういうのは第一発見者のYの責任だよ!」
Yと何度か押し問答をしたように思いますが、最終的には私が寮の物置からスコップを持ってきて、敷地の片隅まで運びました。
一時はこれがYのイタズラで、大糞はよくできた作り物であるということも期待しました。しかし、スコップでモノを割ってみたら、その可能性も否定されました。
中までしっかり詰まっています。中はまだ水分に満ちていて特有の匂いが立ち昇ぼるし、スコップから伝わる柔らかい感触は「きっとウンコを割った時ってこんな感じなんだろうな」と思わせるそれそのものでした。
イタズラ用に準備したのなら手をかけすぎですし、それにYも他の同期も私に対してこんなことをする人達ではありません。
そのあとの私達がどうしたのかは記憶が薄れてしまってあまり覚えていないのですが、集まってきた同期連中も交えてやいのやいの言ったあと、気を取り直してドライブに行ったと思います。
以降、私はことあるごとにこの話をネタとして面白がっていますが、いまだに意味が分かりません。
誰が、あるいは、何がシタのか。
いつシタのか。
なぜ私の部屋の前にシタのか。
これらの疑問が解消されることは、この先もないでしょう。尻の座りは悪いですが、これからもネタとして楽しんでいこうと思います。
いくら不思議でも、やっぱり下ネタはNGなのでしょうか(^^;)
昔、道端に素晴らしく見事に巻かれた絵に描いたようなブツを見たことはあるんですけど、(それはたぶんヒトが作ったもの)あまはらさんのようなブツは確かに見たことも聞いたこともないですね。
で、オカルト雑誌にミステリーでこのネタなんですね。なかなか面白いです。
この話を読んだ編集の方に、感想を聞かせていただきたいところ。
↑これ
ちなみに、この長文、某オカルト雑誌にミステリー体験として寄稿したものです。
どうも没になったようですが、もったいないのでニコタにアップしました。
誰も見にきてないですが(笑)
「このお腹いっぱいに写っている黒いものは全部便です。」って先生が言うてましたね。
たから、多分便秘の人とかそこらの人の出したものやとは思うんですけど・・・
人のドアの前・・・ってことは、夢遊病?か便秘の酔っぱらい??
自分家のドアでて、そこがトイレだと思って出すもの出してしまった。
それだけの仕事量してたなら、病んでる人がいても不思議じゃないかもしれませんね。
よく頑張って日本のIT業界の礎を築かれた皆さんに感謝します。