Nicotto Town


なるべく気楽に気楽に~!


最期の夜月

第十五章

一緒に煙草を吸い始めてからの時間はあっという間だった。彼はちょこちょこと咥え煙草をし、ぼんやりと考え込む様に何処かしら独りの時間へと行っている様にも見えた。…大丈夫だろうか…気になり始めた私は…「肇さん?…大丈夫?」と声を掛けた。彼はふと我に返ったのだろうか、私へと笑顔を向け…「うん…何とか大丈夫…美月さんがいてくれるからかな…ははは」と少しばかり無理して笑っている様にも見えた私は…「肇さん?無理して笑う事ないんだよ、辛いときは辛い…助けてって言ってね」と彼へと伝えた。ほんの少しばかりの沈黙の後に…「ありがとう、美月さん」とやはり悲しそうに笑っている彼に…今は悲し気に笑う事で精一杯なのだろうな…と彼の観察は止まらない儘、私は煙草を吸い続けていた。…「あ、そうだ美月さん?お風呂入ったの?」と問われ…「あぁ、まだだったわ」と答えた。…「明日はお仕事なのかな?美月さんは?」と何ともない会話が始まる頃、時刻は1時50分辺りになっていた。…「私は明日もお休みだよ」と答えると、…「そうなんだ、僕明日バイト入ってて…そのどうやって美月さんのお部屋に戻れば良いかなって、思って…」…確かにそうだよな、と冷静になりつつ…「スペアのキー渡しておくね?」と私は鍵を取りに…確かスペアキーはキッチンだったっけ…と考えながら探し始めた。…「あ、あったよスペア」と彼へと笑い掛ける。…「ありがとう、美月さん」…「肇さんは何時頃からバイトなの?」と尋ねた。…「えっとね、朝の11時から!僕カフェでバイトしてるんだ」と楽し気に笑う。…「カフェのバイト好きなの?凄い楽しそう」…「え?…そ、そうかな…少し恥ずかしい…ははは」見当違いでは無さそうな反応に…「良いじゃない?楽しく働ける場所があるって事は」と私はにこやかに笑っていた。
…「そうだね…はは…あ、そうだ美月さん?明日の朝何か食べたい物ってある?僕作りたい!居候の身でもあるし」と問われていた。…明日かぁ、何か食べたかったっけかなぁ…と思ってしまう私がいる。…「んー何が良いかなぁ」と考え込んでしまう私に対して、彼は一つの提案をしてくれていた。…「何かベタなんだけど、オムライスとかどうかな?」と言ってくれていた。…「おぉ、良いね…それじゃあオムライス一緒に食べよか…あ、でも卵ないかも…」と私は冷蔵庫を覗きに行った。…「やっぱり卵無いや…どうする?」と問いかけると、…「あ、じゃあ僕今からコンビニ行って卵買ってくる!」と楽し気に笑う彼に…「一緒に行こうか」と誘ってみたが、…「夜道の女性は危ないです!」と牽制されてしまった。私は笑いながら「なぁに、それ」と…一緒にいて居心地が良いなぁなんて思ってしう。…「分かった、それじゃあお言葉に甘えてコンビニはお願いしようかな…その間に私はお風呂にでも入って来るよ」と伝えた。二人で煙草が吸い終わる頃に、…「じゃあ、僕卵買ってくるね!」とにこやかに微笑む彼に、…「うん、気を付けてね、行ってらっしゃい」と彼を見送る。…さて、私は風呂にでも入ろう…そう思い、寝室で漁っていた服の中から黒の長Tとグレーのゆったりパンツを選び、風呂へと向かった。




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