最期の夜月
- カテゴリ:自作小説
- 2025/03/26 05:26:05
第十三章
今日と言う日の最後の食事になるであろう時間から肇さんと向かい合って山菜うどんを食べる事になった。…「肇さんのお口に合うと良いけど」と私が言うと、彼はにこやかに「美月さんのお母さんの山菜の味付け凄く優しい味がした…美味しそう」と言っていた。…「そう?なら良かった」と私もにこやかに笑ってみせた。…「それじゃあ、温かい内に食べちゃおうか」と伝えると彼は…「うん!」と楽しそうに笑ってみせてくれた。二人で手を合わせ…「いただきます」と山菜うどんを食べる事となった。…「うわぁ、凄く美味しい!」と彼は満面の笑みを見せてくれていた。…「そう?なら良かった」と私まで彼の笑顔につられ笑ってしまった。…「美月さんも料理上手なんじゃない?」と不意に言われた一言に何故だか恥ずかしくなってしまった私がいた。…「そんな事ないよ…ふふふ」と照れ隠しの様に笑った記憶だ。…「でも良かった、肇さんは身体そろそろ温まって来た?」と問いかけると、…「うん!段々温まって来たよ」とうどんを啜りながら答える。…「美月さん、あのね?」と話し始めた彼に私は…「うん?どうしたの?」と聞く。…「ご飯の後に…その…荷物を…移動させても良いかな…?」…あぁ、そうか肇さんの物何もないもんな…と考えながら、…「うん、勿論」と私は答えた。…「あの…本当にありがとうございます…」と小さな声で言っていた。…「気にしないでね?私はいつでも大丈夫だから」と彼へと答えた。食事の後に一緒に片付け迄してくれた彼は、…「美月さん、僕…少しだけ自分の荷物…取ってくるよ」と小さな声で呟いていた。私は、…「ね?肇さん?大丈夫?」と声を掛けると真剣な顔になり…「うん…許せないもん…あんなの」と泣きそうになりながら辛そうな顔をしていた。…「少しづつで良いから、私の部屋に持っておいで」そう声を掛けると、彼は…「…うん、本当にありがとう美月さん」そう言っていた。…「うん」二人の時間が時計の音と共に流れ始めた頃、…「僕…荷物取ってくる…」と言い、ここが何階なのかを私へと尋ねていた。…そうか…記憶が曖昧なんだ…私は煙草へと火を点け…「ここ4階だよ」と伝え、…「そっか…」と恐らく元彼さんとの部屋を思い出したのだろう…「僕、あいつと403号に住んでたよ…」とポツリと言葉を発し、…「本当に鉢合わせる事はない?」と再度、聞いてみた。…「うん、そこは大丈夫…」と悲し気な表情へと移り変わる頃、…「美月さんと一緒に煙草吸っても良い?」と尋ねて来た。…きっと不安だろう、もっと怒りたいだろうに…私は灰皿を差し出し、…「一緒に吸おう」と彼を誘った。彼は気持ちを切り替えるかの様に…「僕、美月さんと吸う煙草好きだな」と笑ってみせた。…「それに…美月さん良い香りがする」と私の愛用していたキャロライナヘレナの事も褒めていた。…「あはは…そう?」と私が言うと…「うん!」とお道化た様に笑う。…なんて痛々しい笑顔なんだろう…私は彼を観察し始めた。彼は煙草を吸っている時不意に意識が何処かへ行っているかの様になる時がある…咥え煙草に変わる辺りか…と一緒に煙草を吸いながら、彼を見つめて居た。…「よぉし、美月さん!あいつに後悔させてやる!」と煙草を消し、…「荷物…ここに持って来ても大丈夫かな?」と私へと尋ねた。…「うん」私は彼へとにこやかに対応した。時刻は真夜中の0時25分辺りになっていた。
優しい味付け きっと作ったご本人がお優しいのでしょうね
体も心も温まり行動しようとする気力を作ってくれた美月さんの気遣いとうどん
人と食べ物の力ってすごいですね