【小説】真夏の罪 その③ 花火大会②
- カテゴリ:自作小説
- 2025/03/25 12:55:49
夕方5時半。駅。
まだ、明るい時間帯だな。陽はだいぶん傾いたけど、まだ、蒸し暑い。
私は慣れない草履で一生懸命歩いてい行ったけど、ちょっと、遅刻しちゃった。
「おまたせ♡」
香月君の姿を見つけて、私は笑顔になった。
「おっ、馬子にも衣裳だな(笑)」
香月君がちゃかす。
「かわいいよ。」
香月君の不意打ちの笑顔。
「香月君も浴衣なんだ。男の人の浴衣姿ってセクシーだね♡」
「そうだろ?俺っていい男だし。(笑)」
「うんうん、顔がなければね(笑)」
「ねえ、香月君って他に約束なかったの?」
私は不思議になって香月君に聞いた。
「なんで?」
「だって、香月君モテるもん。」
「...モテねえよ。おまえにフラれてるし(笑)」
なんか、すこし寂しい表情が、かわいっかた。
「今日は思いっきり楽しもうな♡せっかくの花火だ。」
香月君は手を私の前に差し出してきた。
「ほら。」
「ん?」
「草履、歩きにくいんだろ?手つないでやるよ。」
「ひとりで、歩けます!(笑)」
花火大会の会場まで、電車で4駅。
電車の中も浴衣を着たカップルがたくさんいた。
みんな、幸せそうだな。
私たちもカップルに見えるのかな。
「きゃっ」
電車がゆれて、こけそうになった私を香月君が支えてきてた。
それから、私をドア側にしてくれて、身体で囲って守ってくれた。
ほんと、こんな細かい気遣いを普通にやっちゃう人なんだよね。
モテるのわかる。
伝書を降りて河川敷に歩いて行く途中、浴衣姿の女の子のグループに香月君がつかまった。
「香月君、ドタキャンしたと思ったら、ちゃっかり、彼女(?)と来てるし。」
私はその様子を見て言った。
「香月君、やっぱり約束あったんじゃない。」
グループの女の子が、ちょっと怒った調子で言った。
「そうよ。香月君、私たちと花火見に行く約束してたのよ。」
「真希なんか、今日の為にバイトして浴衣、新調したんだから。」
私は香月君の袖を引っ張て言った。
「香月君、ドタキャンはいけないと思うわ。」
「ねえ、みんなで一緒に行かない?」
私は、みんなを誘ってみた。
「そんな、やぼはしませんよーーー。」
「この娘のことなんでしょ?香月君がずっと好きな人がいるって言ってたの。」
「人の恋路を邪魔する奴は馬にけられて死んじまえって言うしねw」
香月君は笑顔で言った。
「おまえら、ええ奴やな。また、学校で遊ぼうな♡」
そうして女の子たちは、人ごみの中に消えて行った。
「香月君って、本当に私の事好きなの?」
質問した私より、された香月君の方が赤くなった。
「な、なんだよ。ドストレートに聞いてくんな...」
「だって、私と陽斗君が付き合えるようにしてくれたの香月君やん。」
なんか、寂しそうな表情で香月君は答えた。
「ああ、あれか...」
「あのあと、死ぬほど後悔したんだぞ。」
香月君は遠くの方を見ながら、続けた。
「おまえ、中学校のときから、俺に興味なかっただろう。陽斗ばかり見てて。」
私は茶化すように言った。
「そんなことないよ。かっこよくってモテモテで、彼女とっかえひっかえのプレイボーイだなって、感心してたもの(笑)」
「彼女とっかえひっかえってひでえな。これでも自分から告白したのおまえだけなんだぜ。」
真剣にそう言った香月君にドキッとしてしまった。