Nicotto Town



ナローケイの逆襲

ジョーシュー・ミカヅキ王国は「春の七草隊」の給料でさえ満足に払えぬほど極貧の小国であった。

「春の七草隊のみなさんには、苦労をかけますねぇ~」と、コガラシ・マリアン王女。
「フハハハハ!金は用意できたか~?今日が返済期日なのだぁ~!
もし、返せないなら、借金のカタにマリアン王女を頂いちゃうのだぁ~!」
「強引にお金を貸し付けといてよく言うわ!
マリアン王女と結婚して自分が王様になりたいだけでしょ!? 魂胆見え見えよ!ドン・ブリカン・ジョー!」
マリアン王女と瓜二つの従女「ココア」が、ぽえ~っとしているマリアン王女に代わって返答する。
「マリアン王女もジョーシュー・ミカヅキ王国も、どっちも俺様のものにしたいのだぁ~!」
「本当に欲しいのはマリアン王女だけでしょ!?
ジョーシュー・ミカヅキ王国なんて安く買い叩いて分譲してバラバラにする気でしょ!?」
「ココア!俺様を何だと思っているのだぁ~!…あっ!そうか!その手があったのだぁ~!」
妙な所で納得し、ポンと手を打つドン・ブリカン・ジョー。
「帰られぃ!ドン・ブリカン・ジョー!」「ジョーシュー・ミカヅキ王国もマリアン王女も渡さぬぞ!」
マリアン王女の前に揃いのロビンフッド衣装を着た七人の兵士がズラリと並んだ。
「我ら『春の七草隊』が貴殿のお相手をする!」
「え~っ!? 何なのだ~!お前ら~!俺様の邪魔をするな~!こうなったら、実力行使なのだ~!
おいでませ!『異世界15人衆』!!」
ドン・ブリカン・ジョーは、カランカランとベルを鳴らす。すると、16人の人間が瞬時に姿を現した!

「ユーシャ・ダカラ!」「ヨテイ・チョーワ!」「ムソー・シマクル!」「オーレ・ツエー!」
「カンスト・レーベル!」「スキル・シダイ!」「チャーライ・チョウアイ!」「カチグミ・テンセイ!」
「ツイホー・サレテ!」「セレブレッド・オーヤガッチャ!」「パーペキ・チョージン!」
「アークジョ・フラグ・ヘシオル!」「ホーリー・リバイバル!」
「リーヴェ・スローライフ!」「エロス・タベルノ!」
「そして、私が「異世界15人衆」のリーダー『シンカミー・ニューワールド』だ!」

「久しぶりだな、マリア・アレックス…いや、今は「コガラシ・マリアン王女」か。
よもや、私たちのことを忘れたわけではあるまい?」
「え~っと…あの~、どちら様でしたっけ?」
開口一番、マリアン王女がボケ倒すので、異世界15人衆全員が、よしもと新喜劇みたいに盛大にズッコケた!

「そうやって、ウスラボケ~ッとしていられるのも今のうちだぞ…。
時期はずれの「春の七草隊」など私が手を下すまでもない。コイツ一人で十分だ。やれ!オーレ・ツエー!」
シンカミーは、オーレ・ツエーに攻撃するよう命令した。
「俺TUEEEEーーー!!!」
オーレ・ツエーは、まっすぐ「春の七草隊」に向かって突進し、アッサリと彼らを蹴散らしてしまった。
「競り負けた~!」「ペンペン草~!」「日日是好日~!」
「風と共に去りぬ~!」「里見八犬伝~!」「カブリバ~!」「また来週~!」
七人それぞれ何か叫びながら、遥か彼方にぶっ飛ばされ、お星様になった。キラーン☆

「忘れてた。春の七草隊は七草の日が一番強いけど、その日以外は超ヘッポコなのよね…」
ココアは、こめかみを人差し指で抑えながら、顔をしかめた。
「まぁ、そうだったんですかぁ~。そういえば、もうとっくに七草を過ぎちゃいましたねぇ~。
オーレ・ツエーさん…ああ、思い出しましたぁ~!異世界クラスに居た問題児さんですぅ~!
道場破りと称して騎士系クラスの「アーサー・エンタク先生」に斬りかかって大ケガさせたんですよねぇ~」
「えっ?あの俺TUEEEE野郎、そんなことしてたの?」
「あの時はたしか、ティルトさんの転送魔法で…あっ!そうだ!今のティルトさんなら…!ティルトさ~ん!」
マリアの呼びかけに応えるかのように、ティルトが現れた!
「え?呼んだ?あれ?ここどこ?」
「何ィッ!?『ティルト・ウェイト』だとッ!?」シンカミーは、おどろきとまどっている!
「えっ!?…あの~、どちら様でしたっけ?」
ティルトはマリアと同じようにボケ倒す。ズッコケる異世界15人衆。

「あれ?15人衆なのに16人いる?」
「そうだ!よく気づいたな、ティルト・ウェイト!」
パーペキ・チョージンは、16人目である自分の存在に気づいてくれたのが嬉しくて、興奮気味に答えた。
「まぁ!」「あ、ホントだ」「一人多いですわ」「どおりで、いつもより食事が少なかったワケね~」
異世界15人衆の女性陣4人は、今さらながら「パーペキ・チョージン」の存在にやっと気づいた。
「異世界16人衆に改名した方がいいんじゃないですかぁ?」「そんなことはどうでもいい!」「ガーン!」
シンカミーは、マリアの提案を即座に却下した。
パーペキ・チョージンのせいで何だか変な空気になってしまったので、早く払拭したかったのだ。
自分の存在を「どうでもいい」で片づけられたパーペキは大ショック!しばらく立ち直れそうにない…。

「とにかく!ティルトの転送魔法が発動する前に、数の暴力で押し切らせてもらうぞ!」
「どうにかして「異世界15人衆」の動きを封じないと…!」ココアは身構えた。
「セイレーンハーフのヨーク姉弟もお母さん(トルテ学院長)も居ないのに、どうやって…!?」
ティルトは、大魔導士級錫杖「天衣無縫の杖」を握りしめながら不安そうにしている。
「動けNEEEE~!!」「これは蜘蛛の巣…!? いつの間に!?」「何これ!? ベタベタして気持ち悪~い!」
異世界15人衆の面々は、蜘蛛の糸に絡め捕られて動けなくなっていた。
「何だか知らないけど、今がチャンスよ!ティルト!」
「うん!マリアの夢で無双なんかさせないよ!」
ティルトは、天衣無縫の杖を高く掲げ、呪文を詠唱すると、16人の足元が光って、大きな魔法陣が展開した。
「帰りなさい!元の世界がどんなに嫌でも、どんなにクソでも!」
大転送魔法を瞬時に発動させ、16人まとめて元の世界に送り返した!

「さぁ、どうするの?ドン・ブリカン・ジョー…いいえ、「マニッシュ・チェルノボーグ」!」
ココアの指摘を受け、男の夢魔「インキュバス」である『マニッシュ・チェルノボーグ』は、変身を解いた。
「チッ!あの蜘蛛の糸さえなければ…!覚えてろ!」
マニッシュは捨て台詞を残して、マリアの夢の世界から去っていった。
「ドン・ブリカン・ジョーさんはマニッシュさんだったんですねぇ~。
それにしても…ティルトさん、すごいですぅ~!一人であの大掛かりな転送魔法をすぐに発動するなんて…」
「私はティルトの力を借りたにすぎないわ」
ティルトはそう言いながら変身を解き、アツコに戻った。
「大転送魔法を使ったからお腹すいたわ。何か食べる物ない?ココア…じゃなかった、ラディカ!」
「蜘蛛の糸を茹でたら「そうめん」みたいになったよ~!」
ラディカはすでにココアの変身を解いて、蜘蛛の糸そうめんをだしつゆにつけて食べている。
「喉越しサイコー!そうめんは、やっぱり蜘蛛の糸だね♪」
「蜘蛛の糸じゃなくて揖保乃糸じゃないの?」
アツコはラディカにツッコミを入れる。
「そうめんチャンプルーやにゅう麵も作りましたぁ~!お試しあれですぅ~!」
「ちょっと!あなた達!私の蜘蛛の糸をそうめん感覚で食べるのやめてくれる?」
蜘蛛女の「アラクネ・アルケニー」が姿を現した…!




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