【小説】友達の扉 上田海斗君視点その⑤5時限目
- カテゴリ:自作小説
- 2025/01/19 22:27:49
ーーーー学校
ーーーー5時限目
事件は、入学してから1週間目の古典の授業中に起こった。
3回目の薫子先生の授業だ。
1,2回目の授業のときは、市原さんをとばして出席をとって、
完全に無視して授業をしていた。
今日もまた無視するのかと思って、今日こそ、文句を言ってやろうと構えていた。
ところが今日は、薫子先生は出席もとらないまま、市原に、嫌味を言いだした。
「市原さんは、まだ、その髪なんですね!」
「私の授業は受けなくてよろしい!」
「教室から出て行きなさい!」
薫子先生は厳しい表情でそう言った。
「市原ー出ていく必要ないぞ!」
オレは思わず大声でそう言った。
市原はオレの方を振り向き、首を横に振って、教室を出て行こうとした。
そのとき、
「市原さん、髪を染めればすむことじゃない。どうして、染めないの?」
鬼龍院が立ちあがってそう言ってきた。
「その茶髪で上田君の気をひきたいのかしら?」
少し意地悪な笑顔でそう言ってきた。
市原は、聞こえないくらい小さな声で
「ちがう。髪を染めるとママが悲しむの。」
そう言って教室を出た。
「くそばばー!!!!」
オレは、教卓を蹴っ飛ばして、教室を飛び出した。
なんでか、わからないけど、鬼龍院までついてきた。
オレ達が教室を出た時には、もう、市原の姿はなかった。
「市原さん、何処へ行ったのかしらね。」
ひょうひょうと話しかけてくる鬼龍院は、うざかった。
「あのさぁ、おまえが市原の事心配してるなんて思えないんだけど?」
「市原が友達つくるじゃまばっかりしてるくせに!」
怒っているオレに動じることなく話してくる鬼龍院
「あら、市原さんを心配してじゃありませんわ。」
「私はあなたと市原さんを二人っきりにしたくないだけですわ。」
オレはさらに腹をたてていた。
「ところで、上田君はどこへ行くつもりですか?」
「市原さんなら、きっと、中庭ですわ。」
根拠のない自信が鼻についた。
「あっ、その前に購買でアイス買っていきましょ。」
「はっーーーーーーーーー?!」
訳わかんない奴だ。
でも、なぜか、鬼龍院のペースでアイスを買って中庭に行った。
ーーーー中庭
池を覗き込んでかなしい表情をしている市原がいた。
オレは、なんて声をかけていいのかわからず、持っていたアイスを差し出した。
市原のキョトンとした顔
「なぜに、アイス3個?」
「私もいるわよ。」
オレの後ろからひょっこりかおをだした鬼龍院。
そこから、鬼龍院の演説がはじまった。
「お母様が悲しむっていう話、私、わかりますわ。」
なんか、市原の気持ち、オレよりわかってそうな鬼龍院にちょっと嫉妬した。
それでも5時限目が終わって、市原も一緒に教室に戻ってくれてホッとした。
ただ。。。。なんで、鬼龍院が市原の居場所を当てたのか、なんで、アイスをチョイスしたのかは、謎だった。
(つづく)
鬼龍院さんは、書いていて楽しいキャラです(ू•ᴗ•ू❁)