時間という波の上で
- カテゴリ:日記
- 2024/12/07 11:11:37
夜明け前の薄い空気の中、
僕は一人でコーヒーを淹れる。
豆を挽く音が部屋を満たし、
それだけで、この朝は完成する。
時計の針が動く音が、
心臓の鼓動と重なる。
でも、それはいつだって少し遅れている。
いや、もしかしたら僕の方が早すぎるのかもしれない。
時間は波だ、と彼女が言ったことがある。
穏やかな波に身を任せるように生きろ、と。
でも、僕はどうしても泳ぎたくなる。
波に抗い、遠くの岸を目指したくなる。
この世界に流れる時間は、
誰にも公平だと言われるけれど、
本当は僕らそれぞれに違う。
それは、かつて愛した人たちの名前を
忘れる速さにも表れている。
時間は流れる。
だけど僕たちは、その中で
何を失い、何を拾い上げていくのだろう?
コーヒーが冷める頃、
僕は静かに波に戻る。
それが、今日を生きることだと知りながら。