ファンタジー小説に挑戦してみた
- カテゴリ:自作小説
- 2024/11/08 18:31:27
- 【AIコンテンツクリエーター・アナちゃん爆誕、Gコースのロリキャラがぐいぐい来るんですけど!】
第1話 くそゲームと絶叫したら、黒歴史になったんだが
ラウンドエックスの開発する、歴史ゲームのベータテストを終了した俺は、現行運営中の同社のゲーム世界に降り立った。
俺の種族はヒューム(人型)で、通称《《ヒロシ顔》》のオス、名は春樹《はるき》、実名の春香《はるか》から名付けたのだが全くひねりはない。
ところで、最近まで吟遊詩人や白魔導士をやっていてマンネリ感を覚えたため、気分転換にと「俺タンクやるわ」とか一念発起して、ナイト修行に精を出し始めたんだぜ。
タンクつっても戦車じゃないんだよな、まあ例えとしてはあっている。リアル戦闘でも戦車の後ろに隠れて戦場を突き進むからな、似てるんだよ、だからMMO用語では通称タンクと呼ばれるんだよ、分かってくれるかな。
ところで俺は初期ダンジョンへの中継都市でもある、ルミンサへやって来たんだが、まあ話を聞いてくれ。
「―――つうか春樹、お前シャウト(絶叫)してんぞ……」
「え! …… ヒヨ、早く言ってくれよ……」
俺は同社の運営するMMORPG【FirstFantasy14】に登場する海上都市ルミンサで、同社新開発中のゲームのテスターとして参加した感想を、あろうことか都市全体に聞こえるほど大声で罵倒してしまったのである。
「なんだお前、テスター当たったのかよ! ここでディスるとはいい度胸だな、おい―――」
「こっ、これは内輪話のギャグなんです、誤爆です、まちがいですぅ~、ごめんなさぁ~い」
続けてあちこちから聞こえてくる罵声とは裏腹に、打ち寄せる波も穏やかなルミンサから地方へ漕ぎ出す船が停泊する、波止場までたまらず逃げてきた。引きちぎれんばかりに腕を引かれ連れて来られたヒヨは、ぶんむくれている。まあ、とんだとばっちりで当たり前なんだが。
「いい加減に放せよ、ったく」
「いやあ、ごめんごめん、剛麺《ごうめん》」
「食えねーよ!」
巻き沿いを食らわされたヒヨは、戦士とか黒魔道士とかゲームで用意されたジョブを、全てコンプしようというスタイルの、いわゆる万能タイプのプレイヤーだ。そして最近実装された新種属である、うさ耳のメスへ変身している。
ボンキュッボンな体型に、やたら露出の多い装備をしているため、時に面と向かった場合、目を背けざるを得ない。そして、にやつく―――。え! だれがって? 言わせるなよ。
「ところで春樹、そのレベルならこれ着ろよ」
「お! わりーな。でもヒヨのお下がりかよ、ブカブカじゃね?」
「安心しろ、手に入れただけでまだ着てねーから、フリーサイズのままだ」
このゲームでは、一度手に入れたアイテムは使用したキャラクターの体型へジャストフィットされて、他のキャラでは装備できなくなる仕組みになっている。
「お! これ、そろそろ欲しかったんだよな、あざ~っす!」
この様子を傍から見ると、キャバ嬢の姉から高価な品をプレゼントされた可愛い弟が、嬉しそうにはしゃぐ姿が想像できよう。姉はLサイズ、弟は比べたらMサイズだが決して低身長ではない、ただ姉が《《でかすぎる》》だけだ。つんと立った《《うさ耳》》がそれに拍車をかけている。
「あ~ら春樹ちゃん、可愛いわね~」
とか言いながら俺をハグして姉弟《きょうだい》ごっこをする友のヒヨ、俺にボンキュッボンの最初のボンの部分を押し付けてくる、完全にいやがらせだ。
「ぐはっ、い、いきが―――」
このヒヨからプレゼントされた装備は、PTを組んで潜る初期ダンジョンの宝箱から手に入るアイテムで入手率が高いのだが、頭胴手足など一式そろえる前にキャラのレベルが上がってしまうほど経験値が入ってしまうのが難点だ。
しかし、何やらのエーテルが染み込んでいて市販の同型防具より頑丈で、装備したキャラの能力もちょっぴり補強されるので人気であった。
そんな優秀装備ではあるが、レベルが上がったら上がったで、次の段階の適正レベルダンジョンが待ち受けていて、そのダンジョンのレベルと比較すると見劣りし始める。
そのため、次のレベルのダンジョンでは、より高位の防具が宝箱から手に入るといった、イタチごっこな仕組みになっている。そこで持つべきは友、ヒヨのプレゼントは俺の現時点でのレベルにおいて、非常にありがたい装備なのだ。
「春樹、ナイトは常に最適装備じゃないと、タンクとして務まらんぞ。お前の場合そのままだと《《最適装備じゃナイ(ヒ)ト》》だかんな、くっくっく」
「オヤジギャグかよ……」
ごそごそと、ヒヨからもらったタンク装備に着替えていると
《ピュルリン、ピュルリン》
突然リンクピアスに着信音が鳴り響いた。結構うるせえ!
『ハルキさん? で良いのかな―――、春樹さんも例のベータテスト参加してたんですか?』
『いきなり何だよ、おまえ!』
『すごいです、すごいです、すんごいです、お話聞かせてもらえませんか?』
『ダメだよ、もしかしてさっきのシャウト聞いてたんだろ、内容は非公開なの!』
『でも、な、内緒にしますからお願いです、すごいです、すごいです、カッコいいですぅ~!』
『そ、そうか、俺カッコいいか―――』
「おい春樹どうした、また罵倒のテルでも来たんか?」
俺が耳に付けた通信機器リンクピアスでマンツーマンの会話をしていると、漏れだした声に対しヒヨは心配そうに声をかけてきたのである。
「いや、なんかさっきのシャウト聞いてたみたいで、テストの様子を聞きたいとか言ってきてるんだ。しかも、そんな俺がカッコいいとか言ってさ」
「春樹、そのテルしてきた子、今どこにいるんだ?」
「ここにいます」
その突拍子もない返事に俺が振り向くと、地雷系風味のロリロリ種族のちびっ子ロロフェルが立っていた。
「まじかよ!」
俺がそう叫ぶと、魔法少女によく見るフリフリのゴシック調衣装に身を包んだちびっ子ロロフェルが、両手をL字型に上げて手のひらを後ろ側へそらすのと同時に顔をのけぞらせた。
「ほわっ!」
俺の声に驚いたのか珍妙な声を上げた、このちびっ子ロロフェルの装束一式はお決まりのように、少し渋めであるがピンク系に《《あつらわれ》》ていた。
傍らにはふわふわと、忙しく羽を小刻みに動かしながら浮遊する、可愛らしい少女のような姿が。そこには、ちびっ子ロロフェルの衣装と同系だが布面積の少ない装束をまとい、サイズ的に見るとちびっ子ロロフェルの半分程度の少しエロティックな、いわゆる妖精の姿があった。
「どこだ、おれには見えねーぞ」
「おいヒヨ、下だ下を見ろ」
長身のヒヨが長い耳が折れ曲がるほどの勢いで首を下に傾けると、ちびっ子はそれに反応するかのように、燦燦と輝く瞳でもって上目遣いに答えてきた。ま、まぶしい!
「初めまして、リリサ・リサと申します、よろっぴ~」
俺は一瞬目がくらんだが、そこには短めのスカートのすそを両手でつまんで、かがみながらお辞儀をする姿があった。まさに地雷系風味のロリロリ少女の姿である。
「まじか!」
そう言うと直近《まじか》にリリサを見た、かなり長身のヒヨは、耳をスカイツリーのようにおっ立てた。
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