【第10話】シン・ラジオ・ガール
- カテゴリ:自作小説
- 2024/10/05 22:25:34
夏休み。学生、特に高校2年生ともなればとっても楽しい筈だ。
今まで、夏休みなんて別に…って特別感は全くないぼっち系の俺だった。
去年なんか、毎朝起きるのがお昼ごろ。それからパンかなんか食って、テレビ見たり課題やったり、時々問題集マラソンなんてやってみたり。実家に戻っても、両親は仕事だし、妹しかいねーから俺は毎年学園寮で過ごすことに決めてたんだ。
特に勉強が好きってことでもないさ。
友達って存在が皆無だったんで、遊びに行くこともなく、また趣味もラジオくらいだったからね。まあ簡単に言えば勉強ぐらいしかすることがないって感じかな。
クラスでも除け者だった俺が、テストの度に順位が5番以内に入るのも、同級生は気に入らなかったようだ。
「勉強ばっかりしてて、友だちもいない暗いやつだなっ」
って思われてただろうな。
でも、その通りなんだからしょうがないよ。
でも今年の夏休みは違った。
毎朝起きると、LINEのメッセージが入っている。
ソニーさんからだ。
彼女は早起きで、いつも6時くらいには起きてるみたい。だいたいLINEの朝の書き込み時間がそれくらいだから。
「おはようパナさん。今日は朝から雨だよね。図書館に行こうかと思ったんだけどやめとくよ」
「おはようパナさん。昨日送ってくれたカレーの画像見たよ。美味しそうだね。パナさんが作ってるなんてすごい。私なんか、玉子焼きくらいしか作ったことないよ。今度作り方教えてね」
「おはようパナさん。パナさんに彼女がいないとか信じられないよー。
実は隠してるとか?(笑)」
隠してねー 隠してねー
俺の周囲にいる異性って、
暴力系教師と、思いっきり天然下級生の2人だけだ!!
実は先日の地震のとき、病院から彼女を送ろうと入り口出た瞬間、目の前に黒塗りのでっかい高級そうな車が止まったんだわ。
げっ なんだよ… って思ったら、降りてきたのがまた上品な中年の女性でさ。
周囲見渡しては、視線が止まって。こっちに急いで駆け寄って来た。
「あ、お母さん!」
隣にいたソニーさんが吃驚して立ち止まった。
ぇ お母さん?お母さんって…
母親、マザー、オフクロ、ママ?
俺は、なんでか固まった。
「大丈夫なの?病院から電話があったんで慌てて飛んできたのよ」
そう言いながらお母さんの視線は、隣に立ち竦む俺に注がれる。やや不審そうだ。
そりゃそうだ。
自分の娘が、怪我して病院運ばれて、慌てて来てみたら見ず知らずの男子高校生と一緒に居るなんて、想像してなかっただろうしさ。
「あ、お母さん。この方はね、私が地震で階段から転げ落ちたのを助けて病院まで付き添ってくださったんだよ…お礼言ってね」
ソニーさん絶妙のタイミングでナイスアシスト。俺の足元にシュートチャンスのボールを送ってくれた。
まあ、こんなキラーパスされても、俺はいつもシュート空振りするんだけどな…
( 一一)。
「あら、そうだったのね。ごめんなさい知らなくて…
でも、ありがとうございました!娘はいつもボーっとしてるから転んじゃったんでしょ。で、あなたは怪我しなかったの?」
「あ… はい…」
俺の方を心配そうに見やるお母さんに、ちょっと言葉に詰まってしまう。
「お母さん、この方をおうちまで送っていってあげて。いいでしょ?」
「うん、もちろんだわ。あなたおうちはどこ?」
ドアを開けたソニーさんは、早く早くという表情で車の中に入れと。
俺はそんなシチュに慣れてないし、あわあわしているうちに車に乗り込まされて、気付けば寮の前に来ていた。
車の中で何を話ししたのか全く覚えてないくらい緊張してたんだろうな。
覚えてるのは、ソニーさんが後部座席の隣に座って、スマホを二人でふるふるしてることだけ。
あ、ソニーさんとLINE交換してるんだ…
すげーじゃん俺。
彼女ともうこれっきりなのかもって思ってたけど、縁ができたっ!
内心の興奮を隠すように、ちょっと冷静な表情してみようと努力したけど。
たぶんすっげーテンパってたんだろうな。って
てかさ、
本当にすごいのはソニーさんなんだけどね(笑)
それから毎日、彼女は俺にLINEでメッセージをくれるようになった。
一日に、多いときで5回くらい。
俺も返すんだけど
「そうだね」とか「うん、いいね」とか短い奴ばっかりなのはやはりヘタレだ。
マッキーや甲斐名都相手なら、だらだら長いメッセージ打てるのにな…
夏休みの部活、部室でスマホ見ていたら
部室のドアのとこで、顔を上下に重ねながら、それでも遠巻きに、マッキーと甲斐名都が俺を見てた。
「なんか変なんだよね…」
「スマホあんなに見るタイプでしたっけ?先輩は…」
「てかなんであんた私にくっついて奴見てるんだよ?(怒)」
「いいじゃないですか先生。私だって天文学部なんですから。先輩と同じ扱いしてくださいよ~」
「こらこら、マッキー、甲斐っ!夏休みに入っても、毎週月・水・金の3日は、部活午後からあるんで(てかいつの間にそんな活発な予定が決まったんだ? 部長は俺だぞ?何も聞いてないのにっ)頑張って部室に顔出してるんだ。
そんな隅っこでゴチャゴチャ言ってるんじゃねー!」
俺が振り返ってそう叫んだ。
すると意を決したように甲斐名都が近寄ってきてこう言った。
「先輩、夏休みと言えば合宿です。
天文学部で合宿しましょうよ!」
(続く
ビックリ出来事がどーん、どーん、どーんですね。
そしてLINEをする仲にもなってる。。。
展開がパナさんのいい方向に行ってる感じ。
さて今後の展開が女性2人によってどう変わるか?
合宿がカギにもなりそうかな?と予想しています。
てか、だから、すごい進展してますね☆勉強しか取り柄のなかった、彼女からのナイスアシストをいつも空振りするしかなかった俺が。。。☆ソニーさんパナさんと呼び合って(てか、未だにPNなの?)ラインしてますもんね☆
からの、こっちは合宿攻めか~☆どっちがいいんだろ?
あちらには怖いママいるしどうするの俺!