故郷への小蝶
- カテゴリ:日記
- 2024/08/16 17:14:01
今、正に、台風7号が関東の南岸を通過しょうとしている。小笠原諸島、伊豆諸島の上を通り、進路を北北東に変えた。関東には直接上陸しない。が、風雨は強い。大きな台風の目が、東京都、千葉県、茨城県を、すっぽりと包み込んでいる。
一夜明けた。東京は無風。雲一つ無い青空が拡がっている。台風は、強い勢力を保ったまま、日本列島から離れた。朝から、Family Sの三兄弟は、夏休みの小旅行に出掛ける準備に大忙し。小蝶と共に、南房総に出掛けるのだ。銀河Expressが、午前九時に、SFamilyの庭に停車した。駅長は、三毛猫マコが、兼務している。
小蝶、タカオに続き、長男T,次男G,三男Uが乗り込む。父親のMさん母親のTさんが、手を振って送り出す。途中、高松山で、祖父、祖母、チャム、ウサコ、タカオ、ララ、クク、が乗り込み、合流した。
早速、機長が挨拶に来る。
機 (皆様、どうぞ、小旅行をお楽しみ下さい。
途中、何処か、寄りたい所は在りますか)
祖 (そうですね。小多喜のハ―ブアイランドに
寄っていただけますか?。皆で、Lunchを
楽しみたいので)
続いて、ウエイトレスが現れ、(何か、お飲み物は、いかがですか?)と聞いて回る。それぞれに
、Water、Coffe、FruitJuise等を頼んだ。
みんな、ユッタリとした気分で、銀河Expressの旅を堪能している。車窓からは、新宿、渋谷、池袋等のビル群、スカイツリー等が、ジオラマの様に並ぶ。そして、東京湾の青い海。その背後には、どっしりと構える富士山の勇姿が在る。
程なく、房総半島の中央に位置する、小多喜のハ―ブアイランドに到着した。レストランは、小高い丘の上にある。ハ―ブ園内を回遊している階段を、ラベンダーを始め様々なハ―ブの香りと色彩を味わいながら、登ってゆく。小蝶は、花から花へと飛び周り、皆に遅れまいとしながらも、本当に楽しそうについてくる。
レストランに至る。皆、何処か緊張した面持ちで、席に着いた。そして、順送りに、メニューを見回している。そこに、Dogfood、Catfood、Birdfood、Rabbitfood、その他、小蝶やクワオ用の物まで、記載されていた。誰とも無しに
、(なんて素敵なRestaurantでしょう)とか、(味は どうなんだろう)とか、囁やき合っている。
祖父は、孫達三人に、(ここのスパゲッティは絶品だよ)と話して勧めた。結局、五人は、それを注文し味わった。実に美味しかった。他のメンバーも、それぞれに満足したようである。食後の、談笑Timeも、大いに盛り上がった。
彼等は、Restaurantを後にする。その前には、水路があり、渡ると正面に南欧風のHotelがある
。左横には、礼拝堂と、くすのきの太い古樹。
古樹クスノキの下に、何台かのベンチが置かている。彼等は、そこに座った。涼風が通り抜ける。涼しい。祖父がララとククに語り掛ける。
[ララさんにとっては育ての親、ククさんにとっては恩人である私の長男Yと妻のMさんは、この
Hotelで結婚式を挙げた。素朴で簡素、心に残る素晴らしい挙式だった。今から23年程前になるけれど。そうですよね。古樹クスノキさん]
ララとククは、祖父の発言に、驚きの表情を隠さない。ララは、古樹クスノキに、尋ねる。
[それは、どのような結婚式だったのでしょう。
恩人の、お二人です。すごく、知りたいです]
古樹クスノキは、暫し考えていた。が、思い出した様で、静かに語り始めた。
≪知っての通り、ハ―ブ園のHotelは房総半島の中程、森の中にある。だから、都心のHotelとは異なり、ここでの挙式者は本当に少ない。だからと言うわけではない。ソナタ達の恩人の結婚式は、誠に心に残ったから、覚えているのだ。
この近く、山の中腹に、真育学園と言うプロテスタント系の女子短期大学が在る。そこに在任する牧師が、挙式を司った。五人の聖歌隊による、讃美歌の合唱。Hotelに入ると、直ぐに吹き抜けのEntranceだ。挙式は、そこで行われた。
音響はBest。司祭の声、聖歌隊の調べは、参列した皆の、心の奥底迄響き渡ったと思う。何故なら、私の幹の髄まで、伝わって来たからね。
参列者は親族のみ。新郎Yさんの両親、姉、弟、母方の祖母、新婦Mさんの両親、父方の祖母。
挙式が終了する。玄関から外に歩み出る二人。周りから、祝福のライスシャワー。それから、新郎新婦は、花園で待機する銀河Expressに。
実は、このHotelでの挙式には、特典が付いていた。それは、銀河Expressで出掛ける南Franceの旅である。
二人は、銀河Expressに乗り込む。シートに落ち着き、ホットしていると、機長が挨拶に来た。
長 (本日は、ご結婚おめでとうございます。
行先は、地中海沿岸に在るHotelGで御座い
ます。美食のRestaurant、風光明媚な街並
、歴史を偲ぶ遺跡、中でも是非、地中海で
のヨットをご堪能下さい)
程なく、南FranceのHotelGに到着する。案内されたのは、窓の前面に拡がる紺碧の海が見渡せる五階のスィ―トル―ム。絶景に見惚れる二人。
翌朝、Breakfastの後、二人は地中海に浮かぶ、ヨットの上にいた。ここのヨットハーバーには
、船外機の市場で世界を席巻する日本メ―カ―
H社の拠点がある。操縦してくれるのは、日本人
の駐在員Cさんである。≫
古樹クスノキは、ここ迄話すと、少し疲れたのか、押し黙った。
周りの皆は、(ここでの挙式には、特典に、南仏旅行がついてくるなんて、スゴイネ!)、とか、
(私もしてみょうかな!)、とか、ヒソヒソ話を。
そんな雰囲気の中、古樹クスノキは、(実は、
Bignewsが在ります)と、前置きし語り始めた。
⊕その時のハネムーンベイビーである、長女のA
さんが、この度、結婚する事に成りました⊕
周りからは、(おめでとう)(おめでとうございます)·················と言う歓声が沸き上がる。
ククは、(私のことを、クク様と呼んで、可愛がってくれているAさんが結婚!。急いで帰って、お祝いの言葉を届けなければ)、と呟いている。
ララが、祖父の瞳をシッカリと見つめて、懇願するかの様に言葉を口にした。
[私の実家で、そんな祝事が!。私は、生後間もなく、迎えられました。その時、長女のAさんは、小学校低学年。それこそ、言ってみれば、姉妹のような関係です。そんな目出度い時に、家を不在にするなんて、なんてことでしょう。
ここハ―ブアイランド駅から、直ぐにでもククと一緒に、実家に戻りたいのです。可能でしょうか?。]
祖父は、ララの瞳をシッカリと見つめて、(大丈夫、心配しないで!)と、優しく返答。そして、古樹クスノキに、(お願いします)と、告げる。
ここの駅長は、古樹クスノキである。彼が、自らの葉笛で、ピーと合図の音を鳴らすと、上空に銀河Expressが姿を現し、階段がスルスルと降ろされる。皆の、(気を付けて)の声に送られ、ララとククは乗り込んでいった。
古樹クスノキの下は、Aさんへの温かい祝福で満ち溢れている。