Nicotto Town


なるべく気楽に気楽に~!


深淵の中の蝶

第四章

私が翌日目を覚ましたのは6時を少し過ぎた頃だった。…2時間しか眠れなかったんだな、と思いながらも、身体を起こし洗顔する事にした。洗顔と歯磨きを済ませ、すっかり増えてしまった薬を飲み、いつも通りの朝の支度をし始める。私の仕事は8時から始まる。それまでに、簡単なメイクをし着替えを済ませ、朝の会議までの時間に思う存分煙草を吸う。「いつも通りのどうでも良い日常」に隣人との食事というほんの少しのスパイスの様な物が入っているだけの様にも感じるが、今日の18時からの隣人との食事の約束は私に生きる事を選ばせてくれた様にも思う。時間は既に7時50分頃になっていた。…そろそろ仕事だ、頑張ってみよう…そう思いpcの電源を入れ、会議に参加する為私は会社へとアクセスする。
「おはようございます」会社に居る人達との挨拶から始まる、そんな当たり前のいつも通りの日常に溶け込んで行く。今日の仕事の流れの指示を受けながら、私はメモなどを取り「分かりました、出来上がり次第資料は纏めて送っておきます」…「宜しくね、宮澤さん」…「はい」そう言って会社の会議から離れた私だ。さて…今日の仕事は…煙草に火を点けながらメモを見ながら、頭の中で仕事の流れを整理して行く。今日という一日の仕事の流れを頭に叩き込む様に、私はメモに順番をつけながら、…よし、やるかと己を鼓舞する。外は冷たいであろう雨が降り始めていた。仕事に集中し始めて3時間があっという間に過ぎていた頃、少し疲れを纏った身体と脳を休ませる様に、煙草を手にした。椅子から立ち会がり、伸びをしてみたり、リラックスを図るために優しめの香水を纏ってみたりした。それでもなかなか疲労感と言うのは取れずにいたが、それもまた「いつも通りの事」だ。30分程休憩を取ろうと、私はキッチンへと向かった。白湯を入れ、すっかり忘れかけていた隣人との約束を思い出し、冷蔵庫を覗く。…なにかあったっけな…冷蔵庫には卵しか無かった。買い出しへと出掛けるのも面倒だな、と思い卵料理で何かあるかなと考えに耽る。咥え煙草をしたまま、…あぁオムライスにでもしよう。隣人との食事が決まった所で、私は昼の薬を飲んだ。10分だけ寝ようと思いベッドルームへと向かい横になってはみたものの、眠れる筈の無い私は仕事へと戻る事にした。仕事を再開してからの私の集中力は途切れる事無く続いた。
煙草と水と、仕事。そして香水。資料を纏め上げた時刻は16時を少し廻る頃だった。会社へと纏まった資料を送る。「お疲れ様でした」との言葉も添えて。今日の仕事はこれで終わりだ。座りっぱなしの身体はバキバキに痛みを伴っていた。私は伸びをし、ストレッチ等を始める。明日は土曜、仕事も休みだ。少しばかりホッとした様に心が感じる。ほんの少し汗を搔いた身体に気持ち悪さを覚え、風呂へと入る。
風呂に入っている間は、生きていて良かったのかも知れない、そんな事が頭の中を占領して行く。今日は隣人との食事だ、長風呂は出来ないなと私は湯船から上がった。髪を乾かし、ベランダを開ける。ひんやりと冷たい空気はやはり居心地が良い。煙草に火を点け、ゆっくりと呼吸を繰り返す。私なりの心地の良さだ。既に17時半辺りを指していた時刻に…夕飯でも作って待ってみよう…と腰を上げた。どうなる事やら全く分からない隣人との2回目の食事だ。

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2024/07/27 16:28
卵だけで さっと何を作るか思いつくのは
当たり前のことなのかもしれませんが
私は すごいなって思ってしまいました

普段から 早い判断と料理をすることに慣れているのでしょうね

仕事をし 自分のことをして さらにお隣の方とのお食事をする
どうなるのか 楽しみです



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