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その男、吸血鬼だから

その男、吸血鬼だから



 自己紹介にて「私は吸血鬼です」と言ったその男はとある喫茶店で新人賞候補の作家と打ち合わせのため有名喫茶店で珈琲を飲んでいる。
名前を島津惟秀という60歳のおじさんだが前の会社を定年で辞めた後二度目の仕事としてここを選んだらしい。
出版社も不況のため新人作家に厳しいが相手の心を掴む書き方ということを求める為、
出版社の新人応募の時、『相手の心を突く形で自己紹介をお願いします』と言ったのだ。
他の新入社員研修者が脱落するなかその男は平然と入社し、
惟秀「心を打つと吸血鬼は死んでしまうんでしまうんですけどね」
と言うので、
「杭でね」と私に付け加えられるくらい世間話をしていた。私は桂恵子。

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2024/07/12 18:31
まあ。社長はそう思ってる
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2024/07/12 17:59
病気や怪我で他人の血を貰いまくったから
吸血鬼か・・・
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2024/07/11 08:35
しばらくほったらかすことにした。
読んでは指摘、読んでは指摘。
それが的確な為文句も言えない。
恵子「惟秀さん。あなた出版社にいたことがあるの?」
惟秀「いえ、本は読みますが出版社は初めてです。職はいろいろやりましたが」
恵子「前の職業なんなの?あなたの履歴書はよく読んでないの。出版社という会社は職歴に左右されることは珍しいから関心が少なかったというか」
惟秀「社長ですよ。今は子供に会社を譲り私はやりたかった仕事をしたいとここに来ました。ここの編集長とは酒仲間ですよ」
恵子「・・・まいっちゃうね。頭が上がらないじゃない」
惟秀「私は普通に仕事をしたいだけですけどね」
・・・吸血鬼は普通の仕事が出来ないとわかると去っていった。
世の中、新人としてやるには社長経験者では日陰者にならざるをえないのだろうか?
吸血鬼だけに。

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2024/07/11 08:35


 恵子は仲良くする必要性を感じ惟秀に話しかけた。
恵子「それで血は吸うの?吸血鬼でしょ?」
惟秀「だいたい私の血の8割方は他人の血ですよ。
事故やら白血病やらで輸血を繰り返し骨髄バンクの世話にはなりこの歳まで生きれたのも血の提供された人たちのおかげですよ」
どうやっても・・・吸血鬼で返される。いっそ自分で作品書けば良いのに。
恵子「新人賞作候補の作家はまだまだいるのよ。まだまだ読まないといけないわよ。
準備しなさい」
惟秀「出来てます。早く行きましょう」
・・・調子が狂う。
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2024/07/11 08:35


 恵子「新人としての自覚を持って。あなたが会社勤めしていた頃もそんな部下では扱いにくかったでしょ?」
惟秀「はあ、でも、私も本を読む方ですし多様な意見は大事ですよ。それより食事です。
あっ、ニンニクが入っているよ。私はニンニク食べれないというのに」
反省の見られない惟秀にどう対応したらいいか戸惑い後で自分の上司に小言を言うことで済ますことにした。
次の新人賞候補の作家の作品は「Rの血族」という作品だったが、
惟秀は一通り作品を読んだ後、「私は吸血鬼だから血の話は大好きですよ」といい相手を苦笑いさせている。
惟秀「ミステリー形式ですがその手法はSFでなかなか巧みですね。しかし、この犯人がどうやっては理解出来るのですが、何故それを行うにいたったのかがくみ取れません。その辺を付け加えれば素晴らしい作品になりますよ」
感想は同意だが新人に言われるのは納得がいかない。
恵子は編集長に相談したが「ほっといてやれ」というだけで相手にしてくれない。
恵子は怒りのぶつけ方を失った。


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2024/07/11 08:34

新人賞候補の作家は「日の沈まない都市」という作品だったが、
惟秀は一通り作品を読んだ後「私は吸血鬼をしてますので日が沈まないと言うのは気が滅入りますね」といきなりそのキャラを印象づけて困らせた。
惟秀「月が自転しないように惑星が質量差で固定されているから日が沈まないんですね。
日の沈まない都市と日の昇らない都市の交流の話とその独自の生態系と経済交流が魅力ですね。しかし、設定のわりに話が単調なのがもったいない」
勝手に話をするのは新人として扱いにくい。たとえ自分より年上の相手だとしても。





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