Nicotto Town


モリバランノスケ


窓辺の小蝶

銀河Expressに乗り込み、どれ程の時間が流れたのだろう。ある時は、広大な湿原、ある時は、何処迄も続く海原、ある時は、はてなき宇宙空間。ひた走る列車の窓からは、様々な景色が流れる様に、次から次へ、映し出されてゆく。

小蝶、クモ吉、チャム達は、三者三様に、車窓からの景色を堪能している。辺りは、少しづつ暗さを増して行く。今、太陽が、地平線からその姿を隠そうとしている瞬間である。西の空がオレンジ色に染められてゆく。その中を、大きく真っ赤な丸い塊が、一日の勤めを終えて安息を求め消えるのだ。さしずめ剛腕投手Tさんの消える魔球。

そんな中で、車窓から流れる景色に見とれていた小蝶が、静かに言葉を紡ぐ。

(あの一段と光り輝いている星は何でしょう)

それを受け、クモ吉が、優しく労る様に説明。

(あれは、宵の明星です。日没後に光り輝いて見える、太陽☀からは、地球より内側に位置する金星ですよ。この列車からは輝きが増してる)

クモ吉は、さらに話し続けた。

(見てご覧なさい。普段、我々が地球上で見るよりは一段と鮮明に見えている天の川です。無数の星の集団ですが、綺麗でしょう。実は、あれは、多数の恒星や星雲から成り立つているのです。我々の太陽系は、その中の一つなんです。)

小蝶は、興味津津といった眼差しで、天上に拡がる天の川を眺めている。そして、呟くように
、言葉を紡いだ。

(宇宙には、はてがあるのでしょうか?)

クモ吉は、優しく労るように、返事をする。

(はては無い。然しながら、無いが在る)

小蝶は、丸い目を、更に丸くして考えている。

⚪まるで、禅問答の様⚪




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