Nicotto Town


モリバランノスケ


竹林のお蝶

(おはよう御座います)。我がFamilyは、全員が、元気な声を出して、Breakfastを始める。アオコは
、メープルシロップを数滴垂らした蜂蜜を、美味しそうに食べている。蜂蜜が置かれた器は、母のお蝶が愛用していた、薔薇の絵柄の皿だ。

夫々が、思い思いに、Breakfastを愉しんだ後は、皆んなが嬉しみにしている、談笑Timeが始まる。
寛いだ雰囲気の中で、アオコが、黒い瞳をクリクリさせながら、私を見つめて、(ご主人様が、私の母と、始めて合った時の事を聞かせて頂けますか?。その時、母の心と体、どの様な状態だったのか知りたく思います)と、語りだした。

私は、一瞬目をつむり沈黙して、その時の事に思いを馳せる。そして、語り始めた。

○私が、お蝶に会ったのは、竹林の中だ。皆も知っている様に、私は、あの場所が、とても気に入っている。

竹林に至るには、二つのルートが在る。一つは、ログハウスの裏、露天風呂風の風呂の脇を通り、丘を登る。他は、古道の階段を登り、丘の上に出て、古道と別れて、我が敷地の縁を左側に進む。

私は、その日、古道ルートを使った。古道と別れ、しばし竹林の中を進む。そして、東側が、高い崖に成っている、陽だまりの場所に至る。

私は、横たわる太い杉の倒木に腰を下ろした。
無風である。辺りは、静寂に満ちている。そして、何時しか、目を閉じて、瞑想を始める。

どのくらい時間が経過したのだろうか。私は、微かな気配を感じて、目を開いた。あたりを見回す。そして、右手の太く長い竹を見つめた。

その時、私の目に飛び込んで来たのは、竹の葉に辛くもつかまって息も絶え絶えに憔悴しきった表情の、蝶であった。思わず、声を掛ける。

私 (どうしたの!)
蝶 (私は、北から南への旅の途中なんです。
  何とか、ここまで辿りついたのですが、
  とても疲れてしまって。力が出ないのです)
私 (私は、貴方に危害を咥えるような怪しい
  者ではありません。ここは、雨風に曝され
  厳しい。私のログハウスで休みませんか)

最初、蝶は、訝しげな表情を見せていたが、少し信用したのか、もうこれ以上は体力が持たないと悟ったのか、私の手の上に、舞い降りた○

アオコは、感慨深げに、ここまでの話を聞いていた。そして、押し黙った私に、怖ず怖ずと、(ログハウスでの生活は?)と、聞いてきた。

私は、彼女の気持を想い、不安にさせないようにと慮り、優しく労るように、ソット囁やく。

○長くなるので、後の話は明日にしましょう。でも、ログハウスの生活は、貴女の母にはとても良かった。日に日に、元気を取り戻しましたよ○




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