Nicotto Town


モリバランノスケ


ウサコの話#3

今日も、全員揃って、Breakfastを楽しんでいる。
既に、早朝散歩を、済ませたピョン太も、今朝は、黒松くんの樹上には戻らずに、顔を揃えている。それは、ウサコを気遣っての事だ。彼女の体調が回復する迄は、世話をしたい考えだ。

それに、ウサコから、話の続きを聴きたいとの思いもあるのだろう。他の者達も、同じような考えであるとの、雰囲気を察し、(話をする元気在りますか)と、彼女に語り掛ける。ウサコは、
(私の拙い話でよければ、良いですよ)、遠慮がちに、返事をする。周りの皆の、無理はしないでとの暖かい思いを察しながら、語り始めた。

○私は、あの後、杉さんの太い切株を降りて、東側に進みました。そこにも、私の大好きな場所が在るんです。それは、やはり、先程とおなじように、太い杉さんの倒木の上。その上に座り、辺りの情景と、一体となる。大好きです。

丁度、東の空から、太陽が昇り始めている所でした。山際が、少しずつ、茜色から、明るい赤に、そして、オレンジ色の朝焼けに染まって行きます。なんて、神々しい景色。気がつくと、私の座っている倒木の下には、今が盛りと、春蘭さんが咲いています。みんな、一緒になって、昇り始めた、太陽を眺めていました。

右側には、楠さんの枯木が。その方も、私達と同じ気持ちなのでしょう。同様に、お日様を拝んでおられました。又、楠さんの樹上に居る、目覚めを迎えた、フクロウさんも、この神々しい雰囲気を、心から味わっているようでした。

私は、先程と同じように、目を閉じて、瞑想を始めました。そして、深い静寂のかなで、少しづつ、満ち足りた幸福感に、導かれて行ったんです。そして、分かったの。本当の私が。動物でも、昆虫でも、人間でも、爬虫類でも、魚でもない、私に隠された真の自分が。この朝焼けを、美しいと感じる気持ち(心)が、私なのだと○

ウサコは、ここ迄、話すと、少し疲れを感じたのか、黙り込んでしまった。

即座に、ピョン太が、優しく、言葉を掛けた。

(ウサコ。今朝は、ここ迄にしよう。)




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