Nicotto Town


モリバランノスケ


ウサコの話#2

今日は、風も無く穏やかな日和である。私達は何時もの様に、Breakfastを楽しんでいる最中だ。
ウサコの表情から判断すると、昨日よりは、一段と調子が良いようだ。何より、可愛らしいつぶらな瞳に、明るさが戻ってきたのが嬉しい。

ウサコは、(この度は、本当に有難うございます。皆様の温かな気持、言葉、看病、のお陰で、今朝は大分、気持ちが落ちついて来たようです。今、少しは、お話出来そうな気がします)と、声を心の底から絞り出すように話し始めた。

○あの日の朝、私は、何時もより早く目覚めました。今日の様に、風も無く、大気が透き通った様な、気持ちの良い、穏やかな日和。そんな雰囲気に誘われ、早朝散歩に出掛けたんです。
森の仲間達、草木や樹木達に、(オハヨウ)と挨拶を交して、進みながら、丘を上っていきました。更に、孟宗竹の林に入って行ったんです。

そこは、この山の中で、私の一番大好きな場所なんです。特に、気に入っているのは、竹林が途切れて、陽だまりに成っている所。あそこに
太い杉さんの切株があるでしょう。私は、そこの上に、座って、目を閉じ、瞑想するんです。

静かです。本当の静寂。耳を閉じて、自分と向き合う。なんと表現したら良いでしょう。一語で言うと、<我を忘れる、忘我の状態・・>。
更に、言葉を変えると、<故郷に帰る>とでも表現しましようか。私は、あの瞬間が、たまらなく、好きなんです。・・・・・・・・・○

ウサコは、ここまで喋ると、遥か遠くを眺めているような、仕草をした。

ピョン太が、ウサコの顔を見て、優しく諭すように呟く。(今朝は、このぐらいにしようよ)。




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