Nicotto Town


モリバランノスケ


ウサコの話

昨日の注射、が効いたのか、ウサコの容体は、快方に向かっている。昨夜は、グッスリと眠れた様である。少し明るさを増した、彼女の表情から、そうと読み取れた。私は、今朝起きると直ぐに、処方された薬を傷口に塗ってあげた。

だが、我々と同席して、Breakfastを、取ることは無理である。近くにある、小机の上に、柔らかい毛布に包まったウサコを横たえた。そこは、あたかも、同席しているかの雰囲気.が漂っている。時々、ピョン太が、席を立って、ウサコの傍に寄添い、消化に良いように細かく切り刻んだ野菜(キャベツ等)を優しく口に入れてあげる。

ウサコも、(ありがとう)、と言う表情で、口を動かしている。傍からは、彼らの仕草が、本当に仲の良い、兄妹の姿を想わせた。ピョン太が、今にも瀕死、と言う状態のウサコを、あの時、発見しなければ、どうなっていたか判らない。

ピョン太は、姿を見せないウサコが、この森の何処かで、何らかの事情で行き倒れになっているのではないかと考え、くまなく探し回ったらしい。この丘の東側下を、太平洋に流れ込む、一級河川の夷隅川が流れている。ここは、その支流である。実は、川の誕生地でもある。源流域なのだ。見た目には、川というより湿地帯に近い。

ピョン太は、ウサコを探しに探して、ヒョツトしたらとの、第六感に誘われ、この湿地帯に、たどり付いた。獣医の話では、気を失っていたのは、数日間・・。それは、倒れていた場所が、幸いしたのかもしれない。彼が、ウサコを見つけた所は、枯れ草が堆積し、傷ついた体を横たえるには丁度よい場所だった。誠にLUCKYな条件である。




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