Nicotto Town


モリバランノスケ


石亀様

今日も曇天。時折、雨粒が落ちて来る。だが、我が家の朝食は、いつも通り、楽しい時間である。私達夫婦は、お蝶とチャムとの会話に花を咲かせている。特に、ひょうきんで機知に富む、シヤムネコのチャムの話に、皆の笑いが。

彼は、産まれて間もない赤子の時、森の中、野アザミの草葉陰に、捨てられていた。(ギァギァ)と、悲しげな微かな声を上げて、泣き叫んでいる、と、私に知らせてくれたのは石亀である。
我が庭の南側奥に、岩盤の下から滲み出ている小さな沼(水溜り)が在る。彼は、そこに住み続けている、古老の亀である。チャムは救われた。

チャムは、幼い時から、私達夫婦に、その事を聞かされてきたので、石亀を、命の恩人として大事に考え、(亀様)と呼び、接してきた。必ず、一日に一度は、(亀様)の元に出掛け、親しい関係を続けている。今日も出かけるつもりかな?。

私 (今日は雨模様。それでも、(亀様)に会いに
  行くつもり?)
猫 (行きますよ。亀様と話す事は、私の最大の
  楽しみ、生き甲斐なんです。亀様からは、
  色々なことを教えでいただきました)
私 (そうだろう。鶴は千年、亀は万年、って
  言われている。長寿で博識なんですよね)

今は、雨が降ってはいないが、いつ降り出すとも知れない雨模様。どうやら、それでも、彼は(亀様)に、会いにゆくのだろう。

チャムは、(亀様)との会話を通じて、自分が何故生きているのか、その理由、意味、について教えられてきた。最近、少し分かりかけている。

私は、それは良いことだと自分に納得させた。




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