Nicotto Town


モリバランノスケ


恋路

今日は、朝から曇天。時折、こぬか雨が、庭の植物たちを潤す。その様な中、ログハウスでは毎週水曜日の恒例、昼食会が開かれている。メンバーは、我々夫婦と、お蝶、チャム、ピョン太、ウサコ、それと、石亀のカメオである。

庭の南方奥に、湧き水が染み出していて、そこには小さな沼が在る。そこに、住んでいるのが石亀のカメオである。このlunch会には時々だが都合が良ければ、こうして出掛けてくるのだ。普段は、それぞれが、思い思いに、好みの食物持参というのが、この会の流儀。が、今日は、妻が、夫々の好みに合うlunchを用意したのだ。

互いの最近の出来事などで、座は盛り上がる。
昨日、落ち込んでいたお蝶は、いつもの様に、静かな聞き役に徹しているけれど、その表情は明るさが戻って来た感じだ。そんな中、お蝶が静かに落ち着いた表情で、一言、喋り始める。

お蝶 (今日は、私の話、聞いてもらおうかしら)

普段は、おとなしい彼女が、真剣な顔で言い出すものだから、周りの皆は一様に驚いた表情。
そんな雰囲気の中で、ピョン太が少し戯ける。

ピョン太 (それは一体、どんなお話でしょう)
お蝶 (それはねえ。私の、恋路、コイジの話)
カメオ (アレ−、お蝶、蜂蜜で、酔払ったの!)
一同は爆笑。そして、その後に、辺りに拡がる一瞬の沈黙を感じながら、お蝶の話が始まる。

私達が、初めて出会ったのは、北の国への旅の途中。津軽海峡を渡る、青函連絡船。それは、風の穏やかな、良く晴れた、麗らかな春の日。
私は、甲板のデッキに止まって、遠ざかる山々と、キラキラ光る海面に、連絡船の航路が残す白い泡を眺めていたの。

その時、私と同じ姿勢で、同じ光景を眺めていたのが、彼。白黒に見事に彩られた立派な羽、太く見るからにたくましい脚。私のタイプ。けれど、見た目で好きになった訳ではないですよ。それまで、何度も、騙されてきたからネ。

私が惚れたのは、彼の考えとその想いに。正に雷に撃たれたような衝撃を受けてしまったの。その時には、恋に落ちてしまっていたのです。

○彼のはなし○

この世界は、我々の接し方によって、二つの顔を見せる。

一つは、(我とそれ)、もう一方は、(我と汝)。

平たく言えば、(我とそれ)は、世界の表面しか見えていない状態。(我と汝)は、世界内部の真相が見えて、その存在理由と意味が分かる状態。

更に、言い換えると、社会や世間の常識に囚われて見た世界が(我とそれ)、本来自分が身につけている素直な目で見た世界が(我と汝)である。

我々生命は、肉体があり、欲望という足枷から逃れられない。その為、財産、名誉、地位、等などを大事と、飽くなき闘争を続けてきた。

そのことが、我々に、世間体ばかり気にして、自分の中に、金銭より価値のある(真理)が、存在している事を忘れさせているのだ。

私には、右往左往しているこの世界<環境破壊、気候変動、パレスチナ、ウクライナ、貧困など>の原因究明が、ハッキリと見えている。




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