Nicotto Town


モリバランノスケ


最後の対話

お蝶は叫ぶ。(もうこれくらいでイイ?)。
彼女の踊りと歌に陶酔し、楽しんでいた皆は、口々に叫ぶ。<有難う。良いですよ。>
お蝶は、踊り歌い疲れたのか、羽を休ませようとするかのように、大空を静かに滑空した。

それから、ゆっくりと羽を動かしながら、森の中へと飛んでいく。もちろん、行き先は、老クスノキの所。お蝶の心は、彼に、会いたい話したい、との気持で一杯だ。ヒラリ、ヒラリと、飛翔しながら、考えている。(今の、私の踊りと歌に、気が付いていたかしら?。だったら、いいのにナ~)。そして、お蝶はたどり着く。

お蝶 (老クスノキさん、お久し振りです)
老人 <オオオ、お蝶。良く来た良く来てくれた。私も、ここから、お前が踊り歌う姿を見物していたよ。今迄で、一番の出来だったじゃないか!。ピョン太から、いろいろと聞いているが、元気そうで、何より。わたしは嬉しいよ>

お蝶は、北へ南へと旅の途中に、この森で休むのを、常としてきた。そして、必ず、老クスノキに会い、彼の話を聴いたり、自分の話も聞いてもらった。

お蝶 (ピョン太から聞いたのなら、ご存知と
   は思います。私の命はあと僅かです。
   最後に、これだけは、どうしても、お聴 
   きしたい事が有るのです。何故、私達は
   種の垣根を超えて、話が出来るのか?)

老クスノキは、何だその事か、という表情をしたが、一瞬押し黙り、心の奥ぞこから言葉を絞り出すように、語り始めた。

<我々が、こうして話ができるのは、言葉の真の意味が分かるからだ。今に始まったことではないが、言葉が汚れきっている。極端な例だがロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナの間に、会話が成り立たないのはそのためだ。元々の大昔、人間、植物、動物、昆虫、その他全ての生命は、互いに話をしていた。たが、いつの頃からか、会話が成り立たなくなる。それは、人間が、自分の利益に目が眩み、限りない欲に取り憑かれ、他の命を支配しようとしたから始まった。この世界は、我々の接し方で二つの表情をみせる。一つは、欲にかられて言葉を発する時、もう一方は、その真の意味を理解して言葉を投げ掛ける時。この場合は、種を超えての会話が可能となろう。我々のように!。

欲を捨てる。・・・・・・・・これに尽きる。

欲を捨て、自らの真っさらな心で、相手の真っさらな心と向き合う、これが大事なポイント。以外と簡単かも。ログハウス夫妻の様に・・>




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